『夢幻典』[陸式] 縁起論
- 2016/12/9
- 思想, 歴史
- feature7, yume
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解説
ここの縁起論では、仏教における世界観がかなり強く反映されています。
仏教には、四聖諦という考えがあります。まず、世界は苦しみに満ちているという真理(苦諦)が示されます。次に、苦しみには原因があり、それは煩悩であるという真理(集諦)が続きます。そこで、苦しみの原因を滅した境地が涅槃の真理(滅諦)として示されます。最後に、苦しみを滅するための道が八正道であり、それは中道であるという真理(道諦)が示されます。
八正道とは、正見(正しい見解)・正思惟(正しい思惟)・正語(正しい言葉)・正業(正しい行い)・正命(正しい生活)・正精進(正しい努力)・正念(正しい思念)・正定(正しい精神統一)から成っています。
岩波文庫の『ブッダの真理のことば 感興のことば』の『ダンマパダ』から、参考になる箇所を引用してみましょう。
さとれる者(=仏)と真理のことわり(=法)と聖者の集い(=僧)とに帰依する人は、正しい智慧をもって、四つの尊い真理を見る。――すなわち(1)苦しみと、(2)苦しみの成り立ちと、(3)苦しみの超克と、(4)苦しみの終滅におもむく八つの尊い道(八聖道)とを(見る)。
苦しみをどうするかということは、非常に大きな問題です。その問題に対し、曲がりなりにも何らかの回答を示し得たということで、仏教には大きな価値があると言えるでしょう。ただし、その回答に一定の評価を与えながらも、その回答だけでは満足できないような人もいるでしょう。そういった人は、仏教の回答を参照しながら、別の回答の可能性を探っていく必要が出てくるでしょう。
ですから、ここでは仏教による回答を利用した、別種の回答になっているのです。そして、この回答も同様に、他者にとって利用可能なものなのです。
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