やくざ国家・中共に日本はどう対峙すべきか(その1)
- 2016/3/14
- 国際, 政治
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アメリカの覇権後退とともに、国際社会はいま多極化し、互いが互いを牽制し、あるいはにらみ合うやくざの跋扈のような状態を呈しています。
さて、やくざ状態といえば、中共こそは最大のやくざ国家であり、しかもわが国はそのすぐ隣にいるという恐ろしい関係に置かれています。中共の現状とたくらみに触れないわけにはいきますまい。まず東アジアの国際政治情勢から話しはじめましょう。
中共政府は、周知のとおり、尖閣諸島の領有権の主張を始めとして、フィリピンから実効支配を奪った南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)での人工島における滑走路建設と旅客機着陸、西沙諸島(パラセル諸島)への戦闘機配備など、国際秩序を無視して矢継ぎ早にその露骨な膨張主義を実現しつつあります。
さらに最近では、二〇一六年二月から中国船を南沙諸島のジャクソン環礁周辺海域に五隻常駐させ、フィリピン漁船を追い払っています(産経新聞二〇一六年三月三日付)。
これに対するアメリカの対応は、次の通りです。
まず尖閣問題に関しては、二〇一六年一月二七日、米太平洋軍のハリス司令官が、
「尖閣諸島が中国から攻撃されれば、米軍は同諸島を防衛する」と発言しました。安全保障を現実に米軍に依存している日本としては、この発言が出てきたことは、一見心強いように思えます。また、このメッセージをもし中共側がまともに受け止めるなら、アメリカの軍事力を恐れている中共としては、「尖閣には下手に手を出さないほうが いい」と考えるかもしれません。そういう宣伝効果は確かにいくらかはあるでしょう。
しかし、それほど期待しないほうがよいと思います。
第一にこの発言は、二〇一〇年九月の漁船衝突事件の時のオバマ大統領発言「尖閣諸島は安保条約の適用対象である」を、より具体的にブレイクダウンしたものにすぎないからです。オバマ大統領は、あの時、日米安保条約は自分が生まれる前から決まっていたもので、自分はそれを受け継ぐだけだとも言っています。ところでこの発言中の「安保条約」とは第五条を指します。第五条の該当部分は以下の通り。
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
当時も議論になりましたが、この条文では、「武力攻撃」と明示されており、中共の部隊が漁民を装って尖閣に上陸し実効支配してしまうような「グレーゾーン」については触れられていません。また「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」と書かれており、もし米議会が尖閣有事に際して軍事行動をとることを否決してしまえば、この条文は生きないのです。
さて今回のハリス司令官の発言も「尖閣諸島が中国から攻撃されれば」となっており、グレーゾーンは想定されていません。ですからこの発言はオバマ発言をただ繰り返しているだけです。
第二に、このハリス発言によって、平和ボケの多くの日本人がさらに安心してしまい、「やっぱりアメリカさんが何とかしてくれるさ」と、相変わらず惰眠をむさぼりつづけようとする逆効果もあるということです。
何度も言われていることですが、他国のいざこざのために自国民の血を流すほど、いまのアメリカはお人好しでもなく、その余裕もありません。外交・軍事を中東からアジアへシフトする「リバランス」というのも、「世界の警察官」をやめたことの言い訳として使われている気配があります。日本はいよいよ自主防衛を真剣に考えなくてはならない段階にきているのです。とはいえ、これはアメリカとの同盟関係、協力関係を断つというような意味ではまったくありません。
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