トランプさん、大統領を本当にやる気あるの?
- 2017/4/5
- 社会, 経済
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※この記事は「チャンネルAJER」様より記事を提供いただいています。
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1月20日に大統領に就任するトランプ氏だが、彼は本当に大統領をやる気があるのだろうか。1月11日の記者会見も醜聞・罵倒の大統領らしくない最悪のものだった。大統領職のための勉強をしているとは思えない。大統領は自らのビジネスから完全に撤退することが必要になるが、それを拒否し経営権を2人の息子に託した。
こんな状態であれば、例えば海外の要人がトランプ氏の心証を良くするために彼のホテルに泊りその宿泊費を払えば、憲法が禁じる海外からの贈与や報酬に当たるから憲法違反になる。スキだらけだ。いつでも大統領を辞めて自分のビジネスに戻ろうとしているとしか考えられない。
親族を政府機関の職に採用してはならないという反縁故法に抵触すると言われているのにも拘わらず、トランプ氏の長女のイバンカさんの夫のクシュナー氏を次期大統領上級顧問に起用した。また新政権の閣僚候補を見ても、ビジネス界からの登用が目立つ。利益相反で将来追求を受ける可能性が極めて高いように思える。
本当に大統領を真面目にやる気があったら、こんな人たちでなく、政治経験の豊かな人を選ぶだろう。トランプ氏は大統領より自分のビジネスのほうが重要なのではないか。
トランプ氏の選んだ次期閣僚は、次々と彼と正反対の主張をしている。彼が本気で大統領をやる気があるなら、自分と同じ主張をする人を閣僚に選ばなければ、自分の公約が実現できない。正反対の主張をする人を閣僚に選んだということは、自分の公約を実現する気はないと言っているようなものだ。
例えばトランプ氏はロシアと良好な関係をもつのは良いことだと主張していたが、次期国防長官のマティス氏はロシアは第一の脅威だと言っている。トランプ氏は「米国第一主義」を掲げ「同盟軽視」とも取れる発言を繰り返してきたが、ティラーソン次期国務長官は「同盟国との関与を強める」ことを強調している。
トランプ氏はテロ容疑者の尋問手段で現在は禁止されている「水攻め」などの拷問の復活を主張したが、ティラーソン氏や国土安全保障長官候補のケリー氏はそれを否定している。またCIA長官候補のポンペオ氏は「絶対にやらない」と断言した。その他、イランの核合意、TPP,対メキシコ政策、一つの中国に対する考え方など、トランプ氏と閣僚候補者とは大きく意見が対立している。
要するに彼らはトランプ氏に従わない。従うと言えば閣僚には不適切と言われ議会で承認を得られない。ということは、トランプ氏は公約を守るだけの気力はなく、公約違反を追及されれば途中で投げ出すつもりではないか。
トランプ氏の経済政策に関して言えば、積極財政という点ではアメリカに繁栄をもたらすのだが、保護主義的な政策に関しては、数限りないほどの人がやってはいけないと言っているのに馬耳東風だ。日本総合研修所の試算では、アメリカの17年度後半の経済成長率は政策によって大きく変わる。
積極財政だけなら成長率は3%台半ばだが、保護政策が加わると1%台に落ちる。つまり保護政策の効果はマイナス2%だ。しかも保護主義が第二次世界大戦に発展した歴史も忘れてはならない。
トランプ氏には理解不能なのだろうが、米国が海外からの輸入を制限すれば、生産コストが上昇し、ものづくりの効率は悪くなり、価値の低い製品しかできなくなるので、国際競争力を失う。
圧力をかけてアマゾンに1年半で10万人の雇用を増やすと言わせたが、その雇用によって小規模小売業が次々倒産し、それ以上の雇用が失われる可能性があることを忘れてはならない。確実に雇用を増やしたければお金を刷るとよい。そのお金で生み出された雇用ならば、確実にアメリカを豊かにするのだから。
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