関岡英之先生と産経新聞の事件に関して、言論は何から自由であるべきか

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【序】

ASREADは、関岡英之先生の「移民問題トークライブ」での言説を、産経新聞が歪曲と言われてもしかたのない仕様で掲載した問題について、重点的に取り扱ってきました。

【第6回 「移民問題トークライブ」に関わる産経新聞本社の不可解な対応をすべて暴露】
【第7回 フジサンケイグループ報道機関の情報操作を暴露する】
【第8回 愚かで危険な「外国人=被害者論」】
【第9回 安倍内閣の外国人労働者受入れ拡大策に断固反対する!】
【第10回 産経新聞社からの回答書】

【関岡英之氏と産経新聞の一連の対立について公論を擁護する】
【産経新聞社からの回答書について論理的に考える】

私は、ASREADのこの取り組みを大いに支持します。
と申しますのも、私はこの問題が「大衆新聞における大衆的習性」を象徴的に表すものであると思うからであります。

大衆新聞における大衆的習性

関岡先生の件におきましては、まず何よりも産経新聞の編集に真が無いということに尽きると思います。これをやられたら言論人はたまらないのであって、氏の胸中は察するにあまりあるというもの。

皆さん『大衆』と言う言葉からどのようなことを連想なさるでしょうか?
昔こんなことを言った人がありました。「どんなに優れた個人でも集団になると愚劣になる。」人間が二人以上集まったとき、それは集団になり、特に意識しない場合誰からともなく意思統一を図ろうとする、妥協点を探ろうとする性質が人間にはあると考えます。そしてこれを「正しさ」の尺度と照らし合わせずに行ったとき、つまり「迎合する」「付和雷同」することを第一義としたとき、その構成員の心には『大衆』と言うまさに匿名の気分、自己の個人としての考える行為を放棄し、不定形の虚像に判断を預けきって、誰も責任を負わないで済む状況を作りあげ、そこで安住する。そのような感情、行為のことを指して『大衆的』『大衆的精神』と言いたいと思います。
これをふまえて今回の事件を鑑みますに、情報を『大衆』へ大量に販売せしめて利潤とす、という産業――つまり、マスコミ産業――がすることですので、振る舞いに下賤な所があって当たり前だ、ということも一つ考えておかねばなりません。これは別に、「当たり前だから仕方がない」と言っているのではなくて、「大衆報道産業なるものが正しくなることは永遠にない」という当たり前のことについてのささやかな確認です。
またこれは、このことをもって「産経新聞までもが、中国共産党の手先と化したのか!」というような一途だが筋肉質で単細胞な議論に堕する事への避雷針でもあります。

つまり、いくら「保守っぽい」ことを言っていても、産経新聞とはしょせん『大衆新聞』なのです。
大衆新聞であるから、『大衆理論』から逸脱したものを書くのを避ける。これは殆ど大衆新聞の習性とすら呼べるもので、つまり彼らの『表現の自由』は、「大衆と利潤」に制限されているということ。
結論を申せば、「移民問題トークライブ」の内容は、「大衆理論」に適合していなかったからこそ、大衆新聞によって大衆理論に適合する形へ歪曲されてしまったのだ……と考えるべきだということです。

さらに、(それがほんとうに『正論編集長』の言かどうかは判断がつきかねますが、)産経新聞側からの回答を拝見いたしますに、「大衆新聞なのだから大衆に迎合することは正当だ」とでも言いたげな調子でありますでしょう。つまり、ここでの『ニュース性』の基準とは、「大衆の興味関心の事だ」という事が大前提とされてしまっている上に、そのことがあたかも正当なことであるかのようにすら言われてしまっているのです。

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西部邁

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