第6回 「移民問題トークライブ」に関する産経新聞報道

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恣意的とのそしりを免れ得ぬ産經新聞報道

7月6日に産経新聞系列の雑誌『正論』主催で「日本を移民国家にしてよいのか」という「トークライブ」が開催された。
この企画は、筆者が『正論』5月号に寄稿した「日本が壊れる! 隠された中国人移民の急増」という論文を契機として、評論家の西尾幹二氏の提唱により実現したものだ。
西尾氏は、いまから四半世紀も前の平成元年に『「労働鎖国」のすすめ』(カッパビジネス)という著書を出版して以来、一貫して外国人労働者の受入れ拡大に反対の論陣を展開してきた先覚者である。
パネリストには、西尾氏と筆者に加えて、海外における中国人移民の動向に詳しい河添恵子氏、元警視庁北京語通訳捜査官として国内における中国人犯罪の専門家である坂東忠信氏、『移民亡国論』(徳間書店)を刊行したばかりの経済評論家三橋貴明氏、産経新聞で人口・少子化問題を専門領域とする河合雅司論説委員が登壇した(登壇順)。
西尾氏に続いて発言の機会を与えられた筆者は、法務省の統計から作成したグラフを使って、安倍内閣が推進している外国人の技能実習生と高度人材の受入れ拡大策は事実上、中国人「移民」の受入れ拡大策にほかならないことを論証し、我が国の「移民」国家化を招く、というより既にもたらしつつあると主張した(連載第4回を参照)。
筆者は、トークライブの全編を通して、中国問題に絞って論じた。世界最大の人口を抱え、在外中国人も動員される「国防動員法」を制定し、人民に反日教育をほどこして反日感情を煽り、日本に送り出す技能実習生に軍事教練まで行っている中国という国の特殊性を指摘し、中国共産党が支配する中華人民共和国から近年急激に流入し、永住許可を得て日本に定着しつつある「ニューカマー」の中国人問題は、他の外国人問題一般とは同列には論じるべきではなく、国内治安や国家安全保障、ひいては我が国の国柄にもかかわる重大問題だと何度も強調し、この点に関し会場の聴衆からも賛同の拍手があがった。
このような場の様子を産経新聞は7月8日にこの「トークライブ」について第2面で小さく紹介したが、パネリストの発言として、なんと次のように報道した。

関岡氏は「現在でも企業が外国人に安い残業代しか払わなかったり、パワハラがあったりと問題を起こしている。日本人が加害者にもなり得る」と訴えた。

トークライブにおける全パネリストの発言の中で、産経新聞が取りあげたのはなんとこれがすべてである。

これではアメリカ国務省が毎年発行している『人身取引報告書』の歪んだ記述そのままではないか。しかもこれは今回のトークライブにおける私の発言の中では枝葉末節の部分であり、特に「訴えた」ものでもない
どういう文脈で出てきたかというと、冒頭、西尾氏が、
・移民が増えると国内の治安が悪化するだけでなく、日本人が加害者にもなりうる。
・日本の経済社会が移民の送り出し国に依存するようになる。
・移民は期限限定で受入れてもいずれは定住化することを避けられない

などの七項目につき、(西尾氏自身が)四半世紀前から警鐘を鳴らしてきたが、いまその懸念が実現しつつある、と発言した。

これを受けて筆者は、技能実習制度を説明する中で、この制度がアメリカ国務省の『人身取引報告書』によって「強制労働」だと非難されていること、確かに国内には労基法違反などの問題を起こしている一部の不心得な受入れ企業が存在することを挙げ、それが国内外の反日勢力によって米国に御注進され、日本が加害者に仕立て上げられていると指摘し、西尾氏の四半世紀前の預言の一つが実現している、と発言した。
この部分に関する私の論点は、「反日勢力による御注進によって日本が加害者に仕立てられうる」という後半部分にこそあるのだが、産経新聞は後半部分をカットして前半部分のみを「関岡氏の発言」として報道した。
私は『正論』5月号の拙稿にも

「技能実習制度の問題点というと、受入れ企業や監理団体の労基法違反など日本側の「不正行為」ばかりが槍玉に挙げられ、常に外国人が『被害者』として強調される。」

「アメリカの威を借りて日本政府に圧力をかけようという中国の対米情報戦が早くも奏効している。日弁連など国内にも同調する動きがある。これでは文字通り第二の“強制連行”問題にさえなりかねない」

と既に書いている(同187頁)。この部分に「中国の情報戦は始まっている」という小見出しをつけたのは『正論』編集部だ。トークライブを取材した産経新聞の記者がそれを読んでいないはずはない(読まずに取材に来たなら、事前の準備不足で記者として失格である)。
産経新聞が報道したのは、私の発言中の、アメリカ国務省『人身取引報告書』が論拠と主張している部分のみである。トークライブの内容は『正論』9月号で公開されるはずだが、全体の流れからして、この部分のみを報道するのは不自然だと断じざるを得ない。
産経新聞の報道は、トークライブで筆者が一貫して主張した最重要論点である中国人問題に触れていないばかりか、むしろそこから論点をそらしている。
筆者は滅多に感情を表に出さない温厚な(?)人間だが、産経新聞のこの報道を読んだときは怒髪天を突いた。それは自己を抑制できないほどの激烈な怒りであり、また、このまま引き下がっては言論人としての私の信用にも関わる。
そこで、黙っているつもりであった今回のトークライブ開催に関わる産経新聞本社の不可解な対応を、私の一存ですべて暴露することにした。これによって、私は産経新聞本社から徹底的に弾圧され、言論人生命を絶たれるかもしれないが、それはそれで仕方がないことだ。どのみち、このまま泣き寝入りすれば、言論人としての私は終わりだ。

→ 次ページ:「トークライブ開催の経緯」を読む

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西部邁

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コメント

  1. 非常に重要な問題です。
    産経新聞本社の真摯な対応を期待します。
    ここで恥知らずな対応をとるようなら、
    産経新聞は朝日や毎日レベルに堕ちたと見なさざるをえなくなります。

    • 夢野一郎
    • 2014年 7月 11日

    7月8日の産経新聞記事は、こちら↓のブログの画像から、全文を読むことができます。

    ブログ http://ameblo.jp/datoushinzoabe/entry-11891521352.html

    記事画像 http://ameblo.jp/datoushinzoabe/image-11891521352-12998280066.html

    また、MSN産経ニュースでは、トークライブの各パネリストの主張が、紹介されています。

    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140707/plc14070711300003-n1.htm

    • Johne594
    • 2014年 7月 25日

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