愛玩動物と日本人

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 俗に我が国はアメリカの従属国家であると言われることがあります。未だアメリカ製の憲法を有り難がり、在日米軍基地が全国に存在するその姿は我が国がアメリカの従属国家であると、確かに想起せざるを得ません。しかし、真に日米の関係は単なる従属関係なのでしょうか。

 従属とは支配者が存在し、同時に支配される側である被支配者は存在しなければ成立し得ません。このことは逆説的に言えば被支配者が存在しなければ支配者も存在することができないということを示しています。とはいえ仮に支配者であるアメリカが日本という被支配者を失ってもアメリカの世界戦略上の支障をきたす可能性は高いですが、アメリカという国家は日本がなくても存在し続けるでしょう。こういった現状を認識すると、我が国とアメリカの関係は単なる主従関係とは別の、さらに悪化した関係ではないでしょうか。

 愛玩動物、いわゆるペットは絶対的な主従関係の下で成立します。飼い主はペットの生殺与奪の権限を掌握しており、常にペットより上位に位置しています。一方、ペットにおいては飼い主より絶対的な下位に存在し、その支配を受けています。ここまでは人間における主人と奴隷の関係性とさしたる違いはありませんが、愛玩動物と飼い主においてはその主従関係を意識していません。飼い主は奴隷商人とは違い、ペットを奴隷ではなく大切なパートナーとして扱い、ペットにおいても飼い主との長年の生活で飼い主を信頼しています。人間の主人と奴隷と違い、一見すれば対等なパートナー、家族のように見えます。しかし、飼い主とペットの間には先ほどのべたように絶対的な主従関係の下にあるという事実は変わりません。いわば無意識の主従関係の中にあると言えるでしょう。もし現在の我が国とアメリカの関係性を考えた場合、その関係は愛玩動物的関係と言えば最もしっくりくるでしょう。

 アメリカは最近、我が国に対して自立を求めていると言われています。我が国の防衛力強化にも理解を示しています。しかし、この対米自立も防衛力強化も結局のところアメリカという飼い主が作った巨大な檻の中で日本という愛玩動物が踊っているに過ぎません。我が国が犬から狼になろうとも檻の中では現状を変わりません。またアメリカが真に我が国を対等な同盟国と看做しているかも甚だ疑問です。今から25年ほど前、当時の在沖縄アメリカ海兵隊司令官ヘンリー・スタックポール少将は在日アメリカ軍は我が気の軍事的台頭を抑止するために存在するという趣旨の発言をしました。いわゆる「瓶の蓋」発言です。この発言がイコールでアメリカ政府の総意であると断言することは難しいですが、少なくともアメリカ軍内でそのような認識が一程度共有されているということは事実と言えるでしょう。

 我が国がアメリカの下に存在するものの、両者の間には一定の信頼関係が構築されているという状況は通常の主従関係よりも深刻と言えるでしょう。完全な形での主従関係の場合、支配者は被支配者に対する主としての意識を持ち、被支配者は支配者に対して従属という意識を持っています、しかし現在の日米関係においてはそれが欠落していると言えます。私は何も日米同盟を破棄せよなど妄論を主張するつもりはありません。

 しかし、せめてこの支配者による従属という意識を我々日本人は持たなくてはならないでしょう。この被支配者の意識は自らが他者の支配下にあるということを強烈に意識させられるものですが、その意識を失ってしまってば、自らの国がアメリカという異国に依存しているという厳然たる事実を忘却することになっていまいます。そうなればそういった関係性を脱する糸口さえ失ってしまい。そのような意識の無い状況でいくら国防論、平和論を展開したところで、それは先日の国会における野党議員の主張と同じく、無意味で空虚な絵空事になってしまいます。

西部邁

岡部凜太郎

岡部凜太郎

投稿者プロフィール

1999年福岡県生まれ。現在、高校一年生。幼稚園児のころより政治、歴史、経済に興味を持つ。執筆、メディア出演など仕事の依頼はxnufzs3gtf@i.softbank.jpまで。尊敬する思想家はエドマンド・バーク。

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