デフレ脱却すれば日本経済は復活するのか?

はじめに

最初に断わっておきますが筆者はデフレ容認論者ではありません。そして積極財政論者です。しかし、現在の「デフレ脱却論争」には疑問を持っています。

筆者は多くの政治家や経済評論家と違い「デフレは不況の原因ではなく、デフレは不況の結果である」との認識を持っています。しかし、安倍総理をはじめとした政治家や多くの経済評論家は「デフレ脱却」を主張しています。彼らの頭の中はどうやら「デフレ脱却をすれば自動的に日本経済は復活する」という仮定があるみたいです。「デフレ脱却を成し遂げれば雇用は増え、所得も増える。さらに税収も増えるため財政再建も可能だ」このようなフレーズを皆さんもよく聞くことでしょう。

そのため政治家や多くの経済評論家はデフレ脱却が目的化しており「どうすればデフレ脱却できるか?」という議論を新聞や経済誌、ニュースなどで連日繰り返しているのです。今回は彼らデフレ脱却論者の「デフレ脱却をすれば自動的に日本経済は復活する」という主張は本当なのかを検証してみたいと思います。

消費者物価指数の算出方法

デフレか否かを確認する消費者物価指数やコアコアCPIは小売物価統計と家計調査を元にして算出していますが、小売物価統計には中古品、特売品、割引品の価格は統計していません。

例えば自動車は中古車市場があり、新車も店頭価格からの値引きが当然あります。試乗車や売れ残った自動車はレンタカーや企業の社用車として格安で納品されると聞きます。

また大店法廃止以降、食品スーパーや家電量販店は都市部や都市郊外では店舗が乱立しています。例えば自宅の近隣に何店舗も食品スーパーがあります。そのため賢い主婦は1店舗だけで買い物を済ませず、チラシやタイムセールをしっかり確認し何店舗も回り、定価の商品ではなく特売の商品や値引き商品を購入します。

家電量販店も同じでチラシなどで「他店より安くします」と激しい価格競争をしています。私は値引き交渉をしない性格なのですが、今年の夏にパソコンを購入した際、店員が勝手に割引をしてくれました。また、家電の展示品は定価よりも大幅に値引きして販売されています。このような事例は他にもたくさんあり、日本市場は中古品、特売品、割引品がたくさんあります。

そのため中古品、特売品、割引品を統計していない小売物価統計を元に算出される消費者物価指数やコアコアCPIがインフレ率を示したからと企業利益や日本国民全体の雇用や所得が自動的に増える保障はどこにもありません。

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西部邁

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コメント

    • ひらめ
    • 2014年 7月 14日

    >日本は綺麗なフィリップス曲線を描きますが、米国や英国、ドイツなどはフィリップス曲線を描いていません。海外の例を見る限り、決してインフレにすれば雇用問題が解決するとは言い切れないのです。

    これは大間違いです。フィリップス曲線について、せめてWikipediaくらいの知識は完全に理解してから語るべきでしょう。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A
    >失業率に影響を与えるのは、主に、実現したインフレ率そのものではなく予想されたインフレとの乖離である。予想を上回ってインフレが進行した分が、失業率を低下させることになる。よって、実現したインフレ率と失業率のグラフにおいて、フィリップス曲線は期待インフレ率によって上下にシフトする。また、供給ショックなど、その他の要因によってもフィリップス曲線はシフトする[10]。たとえばオイルショックのような供給ショックは、失業率悪化と物価上昇を同時にもたらし、フィリップス曲線を右上方向へシフトさせる要因となる。
    >フィリップス曲線上の動きと、フィリップス曲線のシフトとの区別は重要である。たとえば景気悪化局面においては、失業率の悪化とともにインフレ率の低下が起きるが、そのインフレ率の低下を受けて人々のインフレ期待も低下していくことになり、フィリップス曲線の下方シフトが発生する。その結果、実現したインフレ率と失業率の間には時計回りのスパイラルが描かれることになり[11][12]、この時計回りの動きの中で左下がりの部分が観察される。

    失業とインフレのトレードオフがどのように観察されるのかを考えれば、曲線のシフト要因を考慮しなければならないのは当然のことであり、そしてフィリプス曲線の右下がりの形状(つまり失業とインフレのトレードオフ)は諸外国を含めて現在でも頑健に成り立っています。たとえば米国についての解説
    http://krugman.blogs.nytimes.com/2012/04/08/unemployment-and-inflation/?_php=true&_type=blogs&_r=0

    フィリプス曲線の導出に関する理論的な背景を考えること無く、勝手にある一つの不動な曲線があるはずだ、それが観察できなければ右下がりのフィリプス曲線は崩れたのだ、と言い出すのはあまりに勉強不足に過ぎます。

      • どん
      • 2014年 12月 02日

      スティグリッツ「たとえば中国では、インフレ率は8%を上回っていた。ベトナムでは23%に達した。これらの国々のインフレは大部分が輸入品によってもたらされたものだ。

      金利を引き上げても、穀物や燃料の国際価格はあまり変動しないだろう。

      仮に世界の食料とエネルギーの価格が年率20%で上昇したら、全体的なインフレ率を2%に収めるためには、賃金とほかの物価を暴落させる必要がある。その場合、ほぼまちがいなく市場経済の減速と高失業率が伴うだろう。この治療法は病そのものよりたちが悪い。

      ゆるやかなインフレ率の上昇は、それがもし持続するように見えたら、金融を引き締めることでたやすく反転せすることができる。要するに、好調な雇用と力強い成長を維持する最良の道筋がインフレに焦点を当てることだというのは、まったくの誤りなのだ。

      インフレに焦点を当てることで、はるかに重要な物事から注意がそれてしまいかねない」

    • ひらめ
    • 2014年 7月 14日

    こちらの日本語に訳されたものの方が分かりやすいでしょうか。
    http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:xpvk_MrDpQoJ:archive.today/Z2hl+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp

    • ひらめ
    • 2014年 7月 14日

    フィリップス曲線のシフトは非常に古くから知れ渡った話題で、インフレ率と失業率を単純にプロットして右下がりで無くなったから、失業とインフレのトレードオフが無くなった、曲線の形状が右下がりで無くなった、ということが言えないのは、経済企画庁(現在の内閣府)の1986年(!)の年次世界経済報告でも触れられています。つまり、あなたはそんな昔から知られているフィリプス曲線についての基礎的な知識さえ無く、さらに無いにもかかわらずフィリプス曲線についてしたり顔で語っているわけです。独学にしてももう少し、まもとな教科書を使って勉強をした方がいいと思われます。

    http://www5.cao.go.jp/keizai3/sekaikeizaiwp/wp-we86/wp-we86-s00i1.html
    にある
    http://www5.cao.go.jp/keizai3/sekaikeizaiwp/wp-we86/wp-we86-s0003.html

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