1兆ドルの公共投資構想の米国と休眠口座の利用を考える日本

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トランプ氏が次期大統領に選ばれ、10年で1兆ドル(約100兆円)という史上最大規模の公共投資の実施構想を打ち出した。日本だと単年度計画だから、なかなか業者も設備投資をいやがり入札も嫌われるが、このように10年計画だと、将来計画が立てやすく企業にも好感を持って受け止められる。もちろん彼は財源など考えていない。いくらでもお金を刷れるのだから、財源など考える必要はない。その発表を市場は好意的に受け止め、ダウ平均も市場高値を更新した。

一方で日本は休眠口座の1000億円を福祉事業に使うのだそうだ。トランプ氏の100兆円に比べれば僅か1000分の1の規模だ。1円たりともお金を刷ってはいけないという馬鹿な固定観念から一歩も抜け出られない哀れな日本人の姿が浮かんでくる。

どうしてこうなんだろうと思ってしまうのだが、政治家は財政赤字が大嫌いだ。国の経済を拡大するには、成長通貨を国が供給し続ける必要があり、それは国の財政赤字によって行われる。だからほとんどの国では財政赤字を続けている。しかしそれを悪いことだと考えている政治家が多くいる。今は国の借金がたまっているから仕方が無いと言う人もいるが、実は国の借金がずっと少なかった頃から財政赤字を極端に嫌っていた政治家は多くいた。
1982年9月に当時の鈴木善幸首相は「財政非常事態宣言」を出し、1995年11月にも村山富市内閣時代「財政危機宣言」が出ている。当時本当に財政危機だったのか誰も答えられない。

一体財政が厳しいとはどういうことなのか。家計が苦しいとか、企業の資金繰りが苦しいとかだとはっきりしている。「お金が十分手に入らないから節約しなければならない。銀行も貸してくれない。」という状態だ。しかし、現在財政は本当に厳しいのだろうか。国がお金を借りようと思えば、0%あるいはマイナス金利でいくらでもお金は借りられるし、なんと金利は国の一部である日銀が自由に決めることができ、最近日銀は長期金利を0%程度に誘導すると宣言したのだ。

いくらでもタダで資金を調達できる国が、なぜ休眠口座の1000億円に手を付けるのだろうか。休眠口座と言っても、その権利を放棄したとは思っていないかもしれない。将来のために貯金していただけなのかもしれない。そんな国民の金に手を付けるより、正攻法で堂々と通貨発行権を行使し日本経済を失われた20年から助け出すことを政府は考えるべきだ。

我々は質問主意書という形で政府に「日銀は長期金利を0%程度に誘導すると日銀が決めたのだからもはや国債の暴落は考えられなくなったのではないか」と質問していたが、政府は「長期金利は市場が決めるものだ」と答弁していた。しかし、さすが日銀は自己矛盾に気付き、11月7日にホームページを書き換えた。改訂前は「長期金利の水準は人々の予想や将来の不確実性に左右されるから、操作が難しい。
(つまり国債の暴落は阻止できない)」としていたが、改訂後は「マイナス金利と大規模な国債の買い入れの組合せた、長短金利全体に影響を与えるうえで有効だとわかった。(つまり国債の暴落は阻止できる)」となった。

いつまでも国債暴落を恐れて財政拡大ができないのでは情けない。トランプ氏にならって、大規模財政拡大を提案すべきだ。思い切った財政拡大策を打ち出せば、市場は好意的に受け止めることは間違いない。

小野盛司

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