国の借金に関する日本人の誤解

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日本人は国の借金に関して、誤解しており、それが不況が20年も続く原因になっている。

誤解1 政府は財政赤字が大きければ国の債務の対GDP比も大きい。

財政赤字が188カ国でワースト3を表にしてみよう。

         財政赤字の対GDP比  国の債務の対GDP比
1位 リビア     -43.55%      39.30%
2位 ベネズエラ   -14.77%      45.62%
3位 エジプト    -13.40%      90.47%

財政は大赤字でも債務の対GDP比は大きくならない事が分かる。日本の債務のGDP比である246%などという高いレベルには決してならないのだ。日本がこのように高いレベルになったのは、デフレでGDPが増えなかったのと税収が増えなかったこと。日本でも、思い切って減税と歳出拡大をすれば、デフレから脱却でき、GDPが増加するので、上記の国々のレベルまで債務のGDP比は下がっていく。

誤解2 財政赤字が大きい限り、国の債務の対GDP比は増え続ける。

財政が大赤字が続いている国がベネゼエラとエジプトであるので、この2ヶ国の債務の対GDP比を調べてみよう。

ベネゼエラ
       財政赤字の対GDP比     国の債務の対GDP比
2010年   -10.36          36.30
2011年   -11.59          43.31
2012年   -16.48          45.97
2013年   -14.58          55.38
2014年   -14.77          45.62
2015年   -19.92          39.64
  (2015年はIMFの予測)

エジプト
       財政赤字の対GDP比    国の債務の対GDP比
2002年   -11.35           90.19
2003年    -9.02          102.09
2004年    -8.25          101.48
2005年    -8.41          103.32
2006年    -9.18           90.35
2007年    -7.55           80.19
2008年    -8.00           70.20
2009年    -6.90           73.03
2010年    -8.28           73.17
2011年    -9.78           76.63
2012年   -10.52           78.90
2013年   -14.08           89.03
2014年   -13.60           90.47
2015年   -11.77           90.49
  (2015年はIMFの予測)

この2ヶ国の例から、財政が大赤字でも決して債務の対GDP比は増えず、ましてや200%などには決してならないことが分かる。むしろ赤字が増えれば、GDPが増加し逆に債務の対GDP比は減ることもあることが分かる。

西部邁

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