見えてきた次世代SNS…伝説の日本人プログラマーが予感した変化とは?

※この記事は「まぐまぐニュース!」様より記事を提供いただいています。
 記事原文はコチラ / 他の記事も読むにはコチラ

Windows95やPhotoShareなどの開発を手がけ、世界的知名度を誇るプログラマーの中島聡さん。常に時代の先を見据える天才が自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、Facebookに取って代わりこれから台頭するSNSを大胆予測しています。キーワードは「ハイコンテキスト」。知っておかなければ取り残される情報です。

Facebookの次にくるのはハイコンテキストSNS

今回の日本出張では、さまざまな人に会って関係を築くことが出来ましたが、最も大きな収穫はメディアとソーシャルネットワークの将来像(正確には「作るべき未来像」)の形がかなりはっきりと見えて来たことにあります。

今までの人生で、この手の「気付き」は何度か経験しています。Windows 95 をリリースした1995年に Marc Andreessen のインターネット白書を読んで「これからはすべてのアプリケーションがウェブアプリケーションになる」という気付き(UIEngine はこの気付きを元に作りました)、2000年代の初めに、カメラ付きケータイを企画発売した J-PHONE の人と話した時に感じて「写真のネットを通じた共有が 人々のライフスタイルの一部になる」という確信(2007年に iPhone 向けのアプリストアがオープンすると同時にリリースした PhotoShare はこの気付きをベースに作りました)などです。

いずれの場合も、漠然とした仮説や疑問や曖昧な頭の中で混沌とした状態を作っているところに、何かしらの新しい情報が加わった時に、過冷却状態にあった水が一瞬にして凍るようにその「気付き」が頭の中に一気に広がり、それが短期間の間に「確信」へと変わります。

往々にして、それは一度気づいてしまえば「今までなぜ気がつかなかったのだろう」と思えるぐらい単純な話なのですが、そのくらい単純なものでなければ、「誰もが逆らえないような大きなトレンド」にはならないのだと思います。

今回の気付きのベースになるのは、私の頭の中に長年あった、「なぜ mixi が世界に羽ばたけず、Facebook が一人勝ちしたのか」「PhotoShare はなぜあれほど熱狂的なファンがいたにもかかわらず、Instagram に負けてしまったのか」「Facebook はあれほどのシェアを持ちながらも、Instagram、WhatsApp などの大型買収をし続けなければならないのか」という疑問です。

さらに私の頭の中には、「放送・出版・音楽などの旧来型ビジネスが崩壊していく中、それに代わるものは何か?」というもっと大きなスケールでの疑問や、「Veemob という会社はまずはどこを攻めるべきか」という短期的な課題も渦巻いており、それが良い塩梅(あんばい)に混沌状態を作り出していたのだと思います。

今回の「気付き」を一言で言えば、ソーシャルネットワークにおけるコンテキスト(文脈・脈絡・前後関係)の重要性です。

リアルな世界における人間の社会活動に最も大きな影響を与えているのは、「どんな人たちと、なんの為に集まるのか」などのソーシャル・コンテキストです。

アニメの主人公に扮したコスプレーヤーや同人作家たちが集まるコミコン、コンテキストが際立っているイベントの典型的な例です。そこでだけ通じる常識や言葉が、その真っ只中にいる人たちにとっては心地よい空間を作りますが、その裏返しとして、そこは価値観が共有できない人たちにとっては居心地の悪い排他的な空間を作り出します。

世の中で成功しているソーシャル・ネットワーク・サービスは、どれもがこのハイコンテキストで排他的な空間と、誰にでもオープンな汎用的なサービスとのバランスを微妙に保ちながら成長しています。

→ 次ページ「Facebookとmixi、何が勝負を分けたのか?」を読む

1

2 3

西部邁

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 2015-3-2

    メディアとわれわれの主体性

    SPECIAL TRAILERS 佐藤健志氏の新刊『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は…

おすすめ記事

  1. 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」がアカデミー賞最多の6部門賞を受賞した。 心から祝福したい。…
  2.  現実にあるものを無いと言ったり、黒を白と言い張る人は世間から疎まれる存在です。しかし、その人に権力…
  3.  経済政策を理解するためには、その土台である経済理論を知る必要があります。需要重視の経済学であるケイ…
  4. SPECIAL TRAILERS 佐藤健志氏の新刊『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は…
  5. ※この記事は月刊WiLL 2015年1月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ 新しい「ネ…
WordPressテーマ「CORE (tcd027)」

WordPressテーマ「INNOVATE HACK (tcd025)」

LogoMarche

ButtonMarche

イケてるシゴト!?

TCDテーマ一覧

ページ上部へ戻る