はじめましての方も多いかもしれません。私、神田錦之介と申します。
このたび、ASREADにおいて、新たな連載を始めることになりました。
その名も
「フラッシュバック 90s」
です。
名前から見てもわかるように、今からおおよそ、20年前にあたる、1990年代を政治・経済・文化などさまざまな方面から振り返ることをテーマにしています。
ドイツ帝国の皇帝、ビスマルクの言葉だったと思いますが、
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といいます。
もちろん、この言葉の意味は、長い歴史の中からエッセンスを抽出し、経営や人格形成に必要な要素を抜き取っていくという高尚な意味合いが強いわけです。
今回の私の連載はそこまで高尚なものではなく、あくまで、90年代を楽しんだ1人として、あの時代を相対化する(今だからわかるデータや事実に基づいて話をする)ことによって、新たな価値観を提示していきたいと思っているわけです。
その中で、マーケティング的な視点からも、今後5年~10年ぐらいのトレンドも打ち出していければと思っています。
今回のReport.1では、90年代を今取り上げることの意味を皆さんに提示してみましょう。
40年で1周する近代日本
吉崎達彦氏の著書『1985年』で、明治維新以降の近代日本には、どうも40年の周期があるように見えると指摘されていました。
始まりは、1868年の大政奉還として、近代日本の夜明けと考えます。江戸時代がリセットされた出来事ともいえます。
その37年後の1905年には日露戦争があり、黄色人種が世界で始めて、近代戦争で白色人種を破る、歴史的な戦争となりました。
一方で、日露戦争の40年後にあたる、1945年には第二次世界大戦の敗戦国となり、6年に渡る占領期間を味わいます。ここも明治憲法下で培われてきた日本の常識が覆され、国のあり方を根本的に変えられることになります。
では、その40年後にあたる、1985年はどのような年だったかというと、第二次世界大戦で戦勝国であった米国が日本に対して、財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」を解消するために日本への為替介入をお願いしてきました。いわゆる「プラザ合意」です。ちなみに、現在、青山学院大学の客員教授を務める「ミスター円」こと榊原英資氏は、「プラザ合意」で急速に進んだ円高を90年代後半に引き下げて、名を上げた人物でもあります。
1985年ごろには、「Japan As Number One」という、エズラボーゲルが1979年に発表した著書のタイトルも盛んに用いられ、ジャパンマネーが世界を席巻していました。軍隊の戦争で負けた米国に、40年かけて経済戦争で肩を並べたといえるでしょう。もちろん、それは米国を初めとした資本主義諸国の支援があってこそのことでしたが。(このあたりのことは、エマニュエル・トッド『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』が詳しく述べています)
40年という数字の意味
この40年という数字にも実は意味があります。
いろいろと調べていくと、興味深いことに、40年という数字は旧約聖書の中で大きな意味を持っています。それは、イスラエルがエジプトを脱出し、約束の地であるエルサレムへと入国するまで、荒野で過ごした期間になるわけです。
私は聖書の研究者ではないので、詳細は避けます。
ただ、さまざまな解釈の中で私が興味を持ったのは、この40年を聖書における「1世代」と解釈して、世代が入れ替わる期間が40年であるとする説です。
そう考えると、40年の周期はその時代を作り上げた世代のカラーがおもむろに現れているという仮説を立てることができそうです。
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