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『夢幻典』[玖式] 蛍光論
誰かが言った。 一を僭称する神がいないのならば、すべてが許されていると。 そのとき、意味が問われている。 許すとか、許さないとか、そういった意味の次元が問われているに過ぎない。 だから、一を… -
『夢幻典』[捌式] 無常論
世界は、はたして有るのだろうか。 この問いに肯定的に答えられたとしても、 世界は有り続けるのかという問いに対しては、 別種の難しさが生じてしまうだろう。 その難しさゆえに、世界は続くとも… -
『夢幻典』[漆式] 心身論
自己は心身とは異なる。 心身は、自己ではない。 心身は、五蘊として示される。 それは、色・受・想・行・識の五つである。 色蘊とは、身体および物質のことである。 受蘊とは、感受作用… -
『夢幻典』[陸式] 縁起論
世界は苦しみに満ちている。 その認識に至っている者がここに居る。 その認識に至っていない者は、ここから去れ。 この認識に至らずして、ここに居る意味はなし。 世界には、苦しみが満ちている。… -
『夢幻典』[伍式] 輪廻論
自己についての問い。 自己は身体と無関係である。 自己は性質と無関係である。 自己は記憶と無関係である。 そして、自己は世界と無関係である。 それゆえ、自己は世界を超えている。 … -
『夢幻典』[肆式] 中空論
有と無の思想が示された。 ここに空の思想を示そう。 有と無の繰り返しを、空の思想によって示そう。 有と無は、互いを否定し、それによって互いを肯定する。 互いを拒絶することによって、互いを… -
『夢幻典』[参式] 沈黙論
沈黙。 沈黙を沈黙と語るなり。 沈黙を沈黙と語らぬなり。 語らぬとして、語るなり。 故に、それによって、語らぬことを示すなり。 有と無と思想が語られた。 無において、零から一が生… -
『夢幻典』[弐式] 無我論
無。 無の叫び。 無いことの叫び。 無いことゆえの叫び。 それは、有の沈黙。 ゆえに、叫び無し。 無が有る。ゆえに、無が無い。 ある論理体系では矛盾と見なされる論理。 こ… -
『夢幻典』[壱式] 有我論
或るものが有ること。 有る叫び。 有ることの叫び。 有ることゆえの叫び。 言葉という複雑な仕組みの成立。 その成立の前後を無視して、ここに語られる。 有ることを讃える叫びが叫ばれる… -
『夢幻典』[虚式] 無神論
神は存在せず。 その神は、一なる神なりし。 一なる神無かりし。 ここに無神論が語られる。 世界から神を抹殺すべきことが語られる。 一を僭称する神は、光あれと創世し。 しかし、それ… -
『夢幻典』[零式] 無言論
咆吼。 それは叫び。 これへの叫び。 ゆえに咆吼する。 其は、言葉の前にして、言葉によって語られるもの。 故に、これは叫び。 このものへの叫び。 このことへの叫び。 はじめに言葉なかり…