『ネット世論』を目の敵にする朝日新聞
- 2016/1/13
- 社会
- feature4, WiLL
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若者はネットを使えない
まず、「若い世代ほどネットが得意」というのは錯覚です。
LINEやインスタグラムといった友だちと遊ぶためのツールを覚えることと情報収集のためのパソコン操作を学ぶことは別物で、後者を苦手とすることは、文部科学省が小五と中二を対象に行った「情報活用能力調査」でも報告されています。
そもそも「検索」による情報収集は興味の対象、語彙の範囲に限られます。安保法制を「戦争法案」とするレッテルを信じた時点で、正しい情報に触れる機会が激減するのは自明。
たとえばSEALDs。彼らが駆使するネットとはSNSであり、それは友人知人とのコミュニケーションツールで、極めて層の薄い人脈になります。
この状況における若者の議論の必然は圧倒的な経験不足と知識不足からくる視野狭窄であり、同時に経験不足は論拠不要の万能感を与え、議論を過剰に傾かせます。反対意見を斟酌もせずに却下する理由であり、昭和的な形容詞で表現すれば「青い」のです。
不十分情報を元に、足りない経験から考え、周囲に集うのが左翼ならば結論は言わずもがな。特定の考え方に染まった青い若者。いつの時代も一定数はいる、ただそれだけの存在が「SEALDs」です。ただし、彼らを「英雄」としてストックすることで、歴史を捏造する試みは現在進行形で行われています。
ゲリラ的な戦いにおいては左翼に一日の長があり、現在も左派の言動を批判したブログが次々と削除されているという報告があります。プライバシー侵害や名誉毀損、さらにはヘイトスピーチだと削除を申し立てられると、サービスの提供会社はプロバイダ責任制限法の適用を怖れて従ってしまうという噂も耳にします。これはストックされた事実の抹殺であり、ネット上の焚書です。
鬼女一人ひとりの存在は小さく、またブログで情報発信をしている者の多くは、額に汗して得られる程度の経済的基盤しか持ちません。彼ら「草の根保守」を助けるには、保守陣営の連携が不可欠です。
「草の根保守」の連帯を
無名のブロガー、名もなきツイートであっても、注目すべき意見は保守派の著名人、有名人が積極的に採り上げることで、左翼陣営に保守の「連携」を意識させます。迂闊に手を出せないと感じさせることが狙いで、つまりは集団的自衛権が目指す「抑止力」です。
法的手段に出ると脅すのも左派勢力の得意とする手口で、私自身、ブログの記事に対して、社民党の機関誌『社会新報』の編集次長・田中稔氏から「名誉毀損で訴える」と恫喝されています。裁判をちらつかせて発言を封じる、いわゆる「スラップ訴訟」に対抗する窓口を準備する必要もあります。こうした連携がとれないようでは、ストックされた情報は執拗な左翼の活動によって焚書されてしまうことでしょう。
残念ながら、保守陣営のネットの取り組みは充分ではありません。安保法制をめぐる喧噪のなか、タレントのつるの剛士氏が「賛成派の意見も聞いてみたい」とツイートしたところ、ネット上での反対派によるリンチ=炎上に遭いました。異論を抹殺する左翼らしい行動ですが、つるの氏のリクエストは保守派の力不足を意味します。
しかしこれからの十年、ストックされた情報の重要性がより増すことは論を俟たないでしょう。
最後に、次の十年のために、ネットデビューを目指す読者のために二つのアドバイスをして筆を擱きます。Twitterのように文字数に制限があっても、必ず主語を交えて事実を明確に発信してください。十年後の読者は、いまの状況を知っているとは限らないからです。
そしてなにより、「品位」をもって発言してください。ネットではまだまだ論拠不明な誹謗中傷は多く、テレビで活躍する著名人でさえ、意にそわぬ意見を見つけては「ネトウヨ」「バカ」と吐き捨てます。逆もまた然り。
それは十年後の日本人に残したい言葉ではない、と私は考えます。「ストック」の力は諸刃の剣であることを知らねばなりません。
この記事は月刊WiLL 2016年1月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ
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