国民の理解を得るための努力なんてする気はありませんでした
私は、安保法制の成立前には、こちらのAsreadでもいくつか安保法制に反対するような内容の記事を書いていました。
何故、個別的自衛権は合憲で、集団的自衛権は違憲なのか?
http://asread.info/archives/2148
集団的自衛権行使容認の3つのウソ
http://asread.info/archives/2235
その後、いくつかの混乱はありつつも、安保法制は成立。成立前に、安倍首相は、「現段階で国民の理解が十分に得られているとは言い難いが、安保法制の成立後に理解されるだろう」というような趣旨の発言をしていましたが、当然ながら、安保法制の成立後には、安保法制に関する国民の理解を得るための何らかの説明を行った様子はありません。釣った魚には餌をやらないプレイボーイのごとく、一度安保法制が成立してしまって以降は一切それについての国民の理解を得るための努力は放棄してしまったようです。
安保法制成立後の野党の秘策となるか?!
このような状況の中で、共産党を中心に野党が模索しているのが、安保法制の廃案を目指して複数の野党が選挙協力を行い政権交代を目指すという「国民連合政府」構想です。
ただし、この「国民連合政府」の実現には、様々なハードルが存在します。中でも厄介なのが、民主党や維新の党の中にもある、共産党アレルギーとでも呼ぶべき共産党への負の感情です。
ただし道のりは容易ではない。同日午後1時から行われた社民党との党首会談では、吉田忠智党首から「大胆な踏み込んだ提案だ。前向きにしっかりと議論を進めていきたい」「様々な困難があるかもしれないが、連立政権の方向性には賛同する」と同意をもらったものの、25日午後3時半からの民主党との党首会談で岡田克也代表は、「共産党と政府をともにするのはハードルが高い」と及び腰だったからだ。
(『共産党が提唱する「国民連合政府」の現実味』http://toyokeizai.net/articles/-/86196?page=2)
共産党と、比較的近いスタンスにある社民党は、この構想に前向きですが、一方で民主や、維新の党などは党内に、共産党との協力に対する強い拒否感があるようです。
民主党の細野豪志政調会長は「『国民連合政府』は到底実現できる中身ではない」前原誠司元外相は「逃げる票の方が多い」維新の党の松野氏は「共産党は再編の仲間ではない」とそれぞれ発言。現時点では、相当にハードルが高いことは事実です。
また、非常に厄介な点が、ほとんどの野党が今回の安保法制には反対したものの、実際にどのくらい強く反対したのか?については、それぞれの党で違いがあります。共産党は、「安保法制絶対反対」というスタンスを堅持したものの、民主党や維新の党などは、「説明が足りない」「まだ国民の理解を得られていない」「今国会で可決させる必要はない」といった条件付きの反対、あるいは政局の流れ上、建前としての反対といったスタンスであった議員もなかにはいたことでしょう。
たとえ、国民連合政府が実現しても・・・
また、この国民連合政府に賛成している、慶応大学名誉教授の小林節氏は、「自公政権は有権者のうち2割の票で7割の議席を獲得した!!」と述べていますが、現実には投票率そのものが、5割程度なので、自公は実際に投票された票のうち 4割程度の票を獲得しています。ですので、政権交代を目指すのならば、すべての野党がほとんど完璧に選挙区の区割りで協力することが大前提であり、さらにそれが実現したとしてもなお、実際に政権交代を行うのは困難です。
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