スーパーグローバル大学でちょっと妄想してみた

発音が大事?

編集長: あと、この構想名から無理矢理競争させようって意図が透けて見えるなぁ。
ライター: ああ、やっぱりそう見えます?
編集長: 見え見えだね。この北海道大学の「Hokkaidoユニバーサルキャンパス・イニシアチブ」っていうのと、東北大学の「東北大学グローバルイニシアティブ構想」って、伏線にしたってバレバレだろ?
ライター: ですよねぇ・・・。
編集長: 「initiative」の発音を巡って、北海道大学と東北大学で抗争が起きるんだろ?
ライター: はい。北海道大学では「イニシアティブ狩り」が行われ、東北大学では「イニシアチブ狩り」が行われるのです。
編集長: 殺伐としてきたな・・・。
ライター: 真のスーパーグローバルを主張して、両校ともに譲らないわけです。
編集長: でも、東北大学が勝つんだろ?
ライター: なんで分かるのですか?
編集長: だって、東京芸術大学が「”藝大力”創造イニシアティブ」って構想名だし。イニシアチブ対イニシアティブが、1対2だから勝敗は決まっているわけだな。
ライター: さすが編集長。チェックが厳しいですね・・・。

アジアのグローバル

編集長: 各校の構想名はいろいろと酷いけど、中でも国際大学と立命館大学のは酷すぎだな・・・。
ライター: そうですか?
編集長: 国際大学は「IUJ Evolution ―アジアのグローバル・スタンダードを世界標準へ―」だし、立命館大学は「グローバル・アジア・コミュニティに貢献する多文化協働人材の育成」ってなってるだろ?
ライター: なってますね。
編集長: なってますねって、お前が書いたんだろ?
ライター: あ、ああ。そうですね。そうです。
編集長: でさ、アジアのグローバルとか、グローバル・アジアとか、いったい全体どういった意味なんだよ?
ライター: 意味不明ですか?
編集長: 意味不明というか、危険思想にしか見えないけどな。
ライター: どうしてですか?
編集長: だって、アジアのグローバル・スタンダードを世界標準にするってあるだろ? じゃあ、すぐにヨーロッパのグローバル・スタンダードもあるって想像がつくだろ?
ライター: なるほど。
編集長: だからアレか? スーパーグローバルな理念はヨーロッパとかアメリカにも広がるわけか・・・。ここら辺も伏線になっているわけか・・・。
ライター: そうです。ヨーロッパでは、当然ながらヨーロッパのグローバル・スタンダードを世界標準にと言い出すわけですよ。
編集長: うわ、最悪だな。歴史を勉強し直せって感じだな。ヨーロッパ的な普遍主義のアジア版が出来て、それに対する反動で、ヨーロッパ的な普遍主義も復活するって展開になるわけか。第三次世界大戦でも企んでいるのか?
ライター: 壮大でしょう?
編集長: 壮大すぎてついていけないわ。何なの、この構想名?
ライター: しかも、国際大学が言い出しているわけですからね。
編集長: 国際って、インターナショナルってことだろ? 国際大学がインターナショナルの理念を忘れて、偏狭なグローバリズムを主張しだしているってことなのか?
ライター: なにせ、アジアのグローバル・スタンダードを世界標準へと言ってしまっていますからね・・・。
編集長: これ、さすがにアウトだろう・・・。

宗教ネタはやめろ

編集長: あのさ、お前だって宗教系のネタは危険だってことぐらい分かっているだろう?
ライター: それは、まあ・・・。
編集長: ここ、やばすぎだって。ええと、国際基督教大学が「信頼される地球市民を育むリベラルアーツのグローバルな展開」で、創価大学が「人間教育の世界的拠点の構築 ―平和と持続可能な繁栄を先導する『世界市民』教育プログラム―」かよ・・・。
ライター: 攻めすぎましたかね?
編集長: 攻めすぎというか、危険すぎるだろう・・・。異なる宗教系がともに「世界市民」とか言い出すって、もう色々とヤバ過ぎだろう・・・。勘弁してくれよ。こんなの出したら、うち、潰れちゃうよ。あと、あまりにリアリティーがないネタは止めろっての。
ライター: そうですか?
編集長: こんなやばいネタ、文部科学省だって配慮するだろ?
ライター: まあ、文部科学省といえばエリート集団ですしね。
編集長: 異なる宗教系の大学がともに「世界市民」と言ってきてるわけだよ。それを文部科学省がだよ、スーパーグローバルの理念で一括りにしちゃうって、さすがにそこまでするわけないだろ?
ライター: そうですねえ。地雷にしか感じられないですね。
編集長: 最低限のリアリティーを手放しちゃまずいよな。

母校はスーパーグローバル?

編集長: まあ、いろいろと言ってきたけど、面白い箇所もなきにしもあらずだな。
ライター: 本当ですか? どこら辺でしょうか?
編集長: そうだなあ。例えば、母校がスーパーグローバル大学になってしまって、苦悩する登場人物の描写はなかなかのものだと思うよ。
ライター: ありがとうございます。そこは、自分の母校がスーパーグローバル大学へ名乗りを挙げ、しかも認定されてしまったときの絶望感を想像して表現してみました。
編集長: 良いと思うよ。まあ、ありえない設定なわけだけど、俺も母校がいきなりスーパーグローバル大学って呼ばれるようになったら、恥ずかしくて母校の名前を言えなくなると思うし。もしかして、あなたの母校ってスーパーグローバルですかって聞かれたら、殴りたくなるよな?
ライター: 殴りたくなりますね(笑)
編集長: 特にさ、この同志社のやつらが早稲田や慶応や立命館のやつらに対し、でもお前らってスーパーグローバルなんだろって言うところ、すげーむかつくわ(笑)
ライター: むかつくように頑張って書きましたからね(笑)

いろいろな意味でボツです

編集長: まあ、面白いところがないわけじゃないけど、ボツだな。
ライター: ええ? そんなあ・・・。
編集長: やっぱり、ちょっと荒唐無稽すぎるな。前回はリアリティーを追求しすぎて面白くなかったけど、今回はリアリティーがなさ過ぎて現実味が沸かないわけよ。登場する大学がすべてバカ田大学とかならともかく、実際の大学をモデルにするなら、その大学のレベルに合った対応や構想が必要なんだよ。こんなおかしな展開、出身大学者から苦情が来るだろう?
ライター: そうですねえ・・・。
編集長: リアリティーとそこからの逸脱は難しい問題なんだけど、そこをうまくまとめるのが良いライターの仕事なんだよ。
ライター: 分かりました。また別のテーマで練り直してきます。
編集長: ああ、それじゃあな。



秘書: すいません、編集長。私、ちょっと話を聞いていたのですが・・・。
編集長: ん、何?
秘書: 編集長って、9月26日のニュース見てないのですか?
編集長: 何かあったっけ?
秘書: ・・・・・・。

スーパーグローバル大学シリーズ

第一回 『スーパーグローバル大学(笑)』
第二回 オシャレでスマートなスーパーグローバル大学のキャッチコピーを比較してみた
第三回 スーパーグローバル大学でちょっと妄想してみた

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西部邁

木下元文

木下元文

投稿者プロフィール

1981年生。会社員。
立命館大学 情報システム学専攻(修士課程)卒業。
日本思想とか哲学とか好きです。ジャンルを問わず論じていきます。
ウェブサイト「日本式論(http://nihonshiki.sakura.ne.jp/)」を運営中です。

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コメント

    • 野比怒羅江悶
    • 2014年 10月 01日

    https://twitter.com/aniotahosyu/status/515440370797535232
    古谷経衡さんにスーパーグローバル大学のことを馬鹿にされてますよ。

  1. 2014年 10月 16日
  2. 2014年 11月 03日

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