オシャレでスマートなスーパーグローバル大学のキャッチコピーを比較してみた

以前に『スーパーグローバル大学(笑)』という記事を書きました。推進している文部科学省に、恥ずかしいので止めましょうと書いたわけですが、考えてみれば役人も上の方針にはなかなか逆らえないのかもしれません。某ホサ官(ホサれた官僚)のように、言うべきことを正々堂々と述べる人物は恰好良いですが、誰しもがそこまで強いわけではないのかもしれません。そこで今回は、嫌々ながらもスーパーグローバルを推進せざるを得ない人たちのことも考慮して論じてみようと思います。
あっ、もっと真面目なものを読みたい人は、施光恒さんの『時代は「スーパーグローバル」?』の方をどうぞ。

長い歴史と権威を持つ「日本学術振興会」がいつのまにか…

文部科学省所管の独立行政法人に、独立行政法人日本学術振興会(Japan Society for the Promotion of Science)という長い名前の組織があります。長い歴史を持つ権威ある組織だと思うのですが、いつのまにか「スーパーグローバル大学等事業」というサイトが出来てしまっています。サイトに上がっている『平成26年度 スーパーグローバル大学等事業 「スーパーグローバル大学創成支援」公募要領』という資料は、突っ込みどころのオンパレードです。1章の「事業の背景・目的」からして、ものすごいです。

 安倍内閣においても、「経済再生」とともに「教育再生」は最重要課題の一つとなっており、教育再生実行会議では、優先的な課題として「大学改革、グローバル人材育成」が取り上げられ、大学の教育内容や教育環境の徹底した国際化に取り組む大学を協力に支援することが提言にまとめられました。
これを受け、文部科学省ではこのたび、徹底した「大学改革」と「国際化」を断行し、世界的に魅力的なトップレベルの教育研究を行う大学や、我が国社会の国際化を牽引する大学を重点支援する「スーパーグローバル大学創成支援」を開始します。

ええとですね…、つまり、安倍内閣が「グローバル人材ほしいよ」って言ったから、文部科学省は「スーパーグローバル大学だね」って応えたわけです。マジかよ…。
もう日本学術振興会ではなく、スーパーグローバル振興会って名前にすればいいんじゃないかな。どうしても日本という名前を入れたいなら、スーパーグローバル振興会・日本支部とかにすればいいさ。
何やら会議なども開催されているようで、もう好きにしろと思ってしまうのですが、ふと気づいてしまったのです。その会議では、スーパーグローバル、スーパーグローバルと連呼されているはずだと…。こ、これは恥ずかしい…。
いや、決めつけるのはよくないですね。もう少し慎重に考えてみましょう。スーパーグローバルのための会議で、スーパーグローバルと言わなければならない人には、大きく分けて二種類のタイプがいるはずです。

【陰タイプ:上の命令なのでしかたなく】

いい大人が、スーパーグローバルって…。頑張って勉強して、日本のために働こうと考えてきたのに、何が悲しくてスーパーグローバル・スーパーグローバル言わないといけないのだろう…。スーパー付けるって発想がもうね…。でも、上の方針に逆らって出世できなくなっても困るし、家族のためにも耐え忍ぶしかないか…。

【陽タイプ:スーパーグローバル万歳】

グローバル化は人類史の必然であり、そこへ向けてグローバル化するには、スーパーグローバルな政策が必須なのです。スーパーグローバルとは、地球市民にとってのホーリー・ネーム(聖なる名前)なのです。スーパーグローバルに邁進するスーパーな私、なんて恰好良いのだろう…。スーパーでグローバルな世界、万歳! スーパーでグローバルな私も、万歳!

う~む。スーパーグローバル大学のための会議で、出席者はスーパーグローバルを唱えているわけなのですが、そのとき陰タイプの人たちと陽タイプの人たちが混在しているわけですね。まさしく、事実は小説よりも奇なりといったところでしょうか…。

陰タイプの人は、スーパーグローバルを唱えた。その人はどこか悲しそうだ…。
陽タイプの人は、スーパーグローバルを唱えた。その人は恍惚としている…。

いっそ大学名も「スマート」にしてしまえばいいんじゃないか

次に、スーパーグローバル大学に名乗りを挙げる大学についても考えてみます。その大学関係者にも、もちろん陰タイプと陽タイプがいるわけです。つまり、スーパーグローバルという名前は恥ずかしいけれど、お金をもらうために我慢して名乗りを挙げる大学と、スーパーグローバルが素晴らしいと考えて名乗りを挙げる大学があるわけです。
困ったことに、その大学が陰タイプの集まりなのか陽タイプの集まりなのか、私たちにはよく分かりません。これは問題だと思われます。なぜなら、陰タイプからすると、陽タイプのような恥ずかしいやつらと同一視されるのはいたたまれないはずです。一方、陽タイプからすると、陰タイプは崇高なるスーパーグローバルの理念に反した野蛮人であり、神聖なる費用をかすめとる詐欺師に見えてしまうからです。
そのため、私からの提案です。陽タイプの集まりの大学は、大学名を変えちゃいましょう。なにせ、スーパーグローバルという崇高な理念においては、国境や国籍にこだわるような時代遅れの野蛮人は必要ないのです。国境や国籍に縛られたダサい大学名など捨て去ってしまえばよいのです。大学名そのものを、スーパーグローバル大学にしてしまえばよいのです。
ですが、そうすると複数のスーパーグローバル大学が乱立し、紛らわしくなってしまいます。そこで、ちょっとしたひねりが必要になります。どうやら最近は、何でもスマートを付けることが流行っているみたいです。よし、スマート・スーパーグローバル大学で行きましょう!
この方式を採用すると、アイディアがドンドン出てきますね。
例えば、
・「キャプテン・スーパーグローバル大学」
・「帰ってきたスーパーグローバル大学」
・「スーパーグローバルA(エース)大学」
・「ザ☆スーパーグローバル大学」
・「スーパーグローバル80大学」
などです。

さらには、スーパーグローバルな理念は海外へ渡り、
・「スーパーグローバルUSA大学」
・「スーパーグローバルG大学」
・「スーパーグローバル・パワード大学」
などができるわけです。

時代が進めば、
・「スーパーグローバル・ガイア大学」
・「スーパーグローバル・コスモス大学」
・「スーパーグローバル・マックス大学」
などの、スーパーグローバルな理念にドンピシャリな名前も出てくることでしょう。

これらのスーパーグローバルな展開は、
・「スーパーグローバル大学列伝」
となり、

さらには
・「新スーパーグローバル大学列伝」
へと続くことになるのです(ウルトラマンファンの皆様、ごめんなさい)。

→ 次ページ「『スーパー』付けて誤魔化すセンスの低さ」を読む

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西部邁

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  1. 2014-10-15

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