フラッシュバック 90s【Report.34】日本礼賛番組と一人当たりGDP

一人当たりGDPの変遷

さて、ASREAD内の記事でもよく言われていることですが、現在の日本の一人当たりGDPは26位~28位をさまよっています。この数字はEUで破綻寸前のイタリアと変わらず、ニュージーランドやイスラエルにも負けています。

不況が続いていたと嘆いていた90年代は、ほぼ世界第3位の位置を維持し続けていました。それが、ゼロ年代に入ってから坂を転がり落ちるようにして、今の順位となりました。

一度凋落してしまった国家というのは惨めなもので、最近では、GDPに変わる指標のGNHであるとかを取り出してきています。別の基準を求めるのは問題ないのですが、そのGNHのトップがブータンという山間の仏教国でインドと中国に挟まれた水力発電で外貨を稼いでいる国に日本がなっていくのはどうしてもイメージできません。

違った価値基準を提示するにしても、それであれば、グローバリゼーションとどう向き合っていくのか、緊張が高まる国際関係をどう処理するのかといった真剣な議論も出てこない日本は、まさに衰退の一途をたどるしかないわけです。

衰退を紛らわせるための日本礼賛

京都大学名誉教授の佐伯啓思は日本のとるべき道は「名誉ある衰退」だといっています。

基本的に、グローバル競争に勝ち続けることは不可能で、新興国が頂点を極めては落ちていくことの繰り返しという前提があります。

そうなった場合、この弱肉強食の世界の中で、燐と名誉ある衰退を遂げていくことこそが、日本がとりうるべき最良かつ最善の道だということです。

90年代の失敗の本質は短絡的だったこと

改めて、90年代を振り返ると、バブルが崩壊し、アメリカに勝ったはずだったのに、永続的に勝つことができなかった。

現在と同じように自信を喪失していた90年代がとった道は、構造改革でした。それは構造改革という名前をつけていますが、単にアメリカを中心とした外貨を国内に流入しやすくする政策をとり、アメリカナイゼーションを押し進めたわけです。

その選択こそが短絡的だったと今から思えば、結論付けられます。同じ過ちは二度と繰り返したくないものです。


※次回は5月23日公開予定です。
※本連載の一覧はコチラをご覧ください。

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西部邁

神田 錦之介

投稿者プロフィール

京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。
大切なことを伝えることとエンターテイメントは両立すると信じ、「ワクワクして、ためになる」文章をお送りします。

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