官邸前DISCO化計画!? ―問題点はどこだろう

「官邸DISCO化計画」の本当の問題点は「我々」意識を芽生えさせられなかったこと

 私は、「楽しく運動をやる」という発想それ自体は、決して否定しません。むしろ旧来の左翼による、あのセンス皆無の、壮絶なまでにダサいデモ(失敬!)と比べて、評価すらしているほどです。

 それでは「官邸前DISCO化計画」にまったく問題がなかったかといえば、そうではない。
 今回の人質問題のように、人命にかかわる切迫した―しかも人質2名のうち1名についてはすでに殺害されたとの情報が流れている―状況において、このような「楽しい運動」を主催すれば、どうしても不謹慎との誹りを免れ得ない。現にネット上で強い批判の声が上がった。

「官邸前DISCO化計画」の真の問題―それは、イベント参加者と一般のネットユーザーとの間に深刻な対立を生じさせてしまったことにこそあります。

 私の考えによれば「新しい社会運動」の本質とは、「我々」意識を涵養することです。

 例えばゲイパレードは広くノンケ(異性愛者)にも開かれています。こうしてゲイとノンケが祝祭としてのパレードをともに楽しむことで、ノンケはゲイに親近感を抱くようになり、ノンケとゲイという旧来の垣根を越えた「我々」意識が涵養されていくのです。

 ところが今回の「官邸前DISCO化計画」は、非常にデリケートな時期に開催されてしまったがために、「我々」意識の涵養どころか、イベント参加者と一般のネットユーザーとの間に極めて深刻な対立を生じさせてしまいました。
 これでは「新しい社会運動」としては失敗に終わったと言わざるを得ません。これこそ「官邸前DISCO化計画」の最大の問題点なのです。

 繰り返しになりますが、私は「楽しくデモをやる」という発想それ自体は、決して否定しません。だからこそ、折角のアイディアが、人々の分断を招くという残念なかたちで終わってしまうことのないよう、主催者側には熟慮を重ねた上で運動を展開してほしいと思うのです。

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西部邁

古澤圭介

古澤圭介フリーライター

投稿者プロフィール

1984年、静岡県生まれ。横浜国立大学工学部卒業。ナショナリズム、ジェンダー論、言語学、映画、アニメ、将棋など幅広い分野に関心を持つ。

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