皆さん、ミッドライフクライシスという言葉をご存知でしょうか?
日本語に直訳すれば、「中年の危機」です。一般的に、40歳前後の中年期に、自分の人生の中の影の部分が目立つようになり、自分のアイデンティティが揺るぎだすそうです。
実は、90年代に起こった構造改革というのは、戦後日本のミッドライフクライシスだったのではないかと思うわけです。
90年代の日本はアラフォーだった
よく、平均寿命という指標が取り上げられ、日本が世界で最も高いということがいわれています。確かに、長生きされる方が多いことはよいことではありますが、一方で、少子高齢化が進んでいることを見えなくしてしまう指標でもあるといいます。
私が注目したのは、平均年齢という指標です。いうまでもなく、平均年齢は国の年齢別人口構成をもとにして、国民一人あたりの平均年齢を出したものです。
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2013年の時点で、日本の平均年齢は、45.8歳です。これは他の先進国と比べても、最も高く、日本は世界で最も老いた国といえるでしょう。
この指標、5年ごとにまとめられているのですが、1990年は37.0歳、1995年は39.6歳、2000年には41.4歳と、徐々に上がっていきます。
人間の人生でいえば、アラフォーだったといえるわけです。男性であれば、厄年を迎える手前です。
まさに、ミッドライフクライシスど真ん中の年代だったといえるでしょう。
アイデンティティの否定としての日本型経営の否定
Report.22でも少し触れましたが、この時期の日本は何に着手したかといえば、80年代までの成功の象徴だった日本型経営を否定して、米国から要請された構造改革、規制緩和路線を進め、市場原理が優先する経済システムへの改変を行ってきたわけです。
しかし、考えてみてください。40歳を越えた日本社会が、今まで培ったノウハウを捨て去って、新しいやり方にチャレンジすることで勝算はあったのでしょうか?
明治維新・敗戦時の日本は20代後半だった
こういう議論をすると、「明治維新や大東亜戦争といった変革期も乗り越えてきたのだから」といった論調が出るかと思いますが、データを見てみると、如実に差が表れます。
同研究所のデータによれば、明治維新期の1884年の日本の平均年齢は28.9歳、敗戦直後の1947年は26.6歳でした。また、人口を順番に並べた際、ちょうど真ん中に来る年齢(中位数年齢)は、1884年は21.0歳、1947年は22.1歳と平均年齢を大きく下まわっています。これはつまり、年齢別人口で見たとき若者の方が多かったということです。
一方、90年代の日本は平均年齢と中位数年齢はほぼ同じでしたが、2013年にとうとう、中位数年齢が平均年齢を上回りました。つまり、相対的に高齢者の方がより多くなったということです。
20代が多くを占めている日本と、40代が占めている日本、柔軟性に富んでいるのは言わずもがなだと思います。
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