「人口減少説」はトンデモ説の典型 ー 失われた20年の正体(その5)
- 2013/12/18
- 経済
- 少子化, 藻谷浩介
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未だに残る人口減少説の影響力
人口減少説にまつわるこうした数々の問題点は、当然多くの人の批判にさらされています。
これに対して藻谷氏は「本書は車、家電、住宅など現役世代向けの商品の値崩れを指摘しただけで、マクロ経済学を否定したり攻撃したりしたものではない」と言い逃れてみたり、同書を批判したブログに大人げない書き込みをして損害賠償を命じられたりしながらも、「ベストセラー評論家」として引き続き活動しているようです。
ミクロレベルの論点も含めた彼の主張を全否定する必要はもちろんないのですが、その土台であるはずの「人口減少=長期停滞の原因説」には根本的な欠陥があることは、今回述べた通りです。
にもかかわらず同説が、経済運営が上手く行かないことについての責任転嫁の格好の対象、あるいは誤った政策論の根拠としてしばしば引用されることについて、今一度警鐘を鳴らしておきたいと思います。
(参考文献)
藻谷浩介「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く」(角川書店、2010年)
吉川洋「デフレーション “日本の慢性病”の全貌を解明する」(日本経済新聞出版社、2013年)
コメント
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ハンガリー、ドイツ、ロシアともに旧東側(ドイツについては半分だけですが)ですね。
経済の路線が大きく変わった国と日本を比べるのは不適切ではないでしょうか。
私もiitoさんのコメントを読む前に、同じように思いました。
なぜ、近年になって、経済システムが大きく変化した国を選んだのですか?
より近い、経済システムや産業構造の国がいくらでもあると思うのですが。