安倍の誤算?民主党が消費税増税凍結方針に転換!!どうなる解散総選挙?!

安倍首相は11月14日、2015年10月に予定されている消費増税の時期を先送りし、それを国民に問うため解散総選挙を実施することを決め、18日にも解散の意向を表明する考えだとNHKニュースなどが報じました。

消費増税1年半先送り 18日にも解散表明
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141114/t10013215721000.html

与党自民党安倍内閣はアベノミクスの失敗、拉致問題の迷走、相次ぐ閣僚の不祥事等で、かなり苦しい状況ではありましたが、一方で、野党の状況も相当に悲惨です。NHKや朝日新聞、毎日新聞などの大手メディアの世論調査は、来年10月の消費税を引き上げに関して、7割以上の国民が反対しているとの結果が出ていますが、三党合意を成立させた民主党は消費税増税に反対しにくい状況。維新の党も共同代表の橋下徹氏が在特会の桜井誠氏との罵声の浴びせ合いによって国民から大ひんしゅくをかった直後、そしてみんなの党も元代表の渡辺喜美氏の8億円熊手事件以降まったくパッとしない状況が続いています。

このように、野党がgdgdでどうしようもない状態で、ある意味不意打ち的に解散の意向を示した安倍首相は、なかなかの策士であるなと思っていたのですが、14日、民主党が消費税増税に関して驚くべき方針転換を発表します。

民主:消費増税凍結方針に転換「3党合意の前提が崩れた」
http://mainichi.jp/select/news/20141115k0000m010116000c.html
http://senkyo.mainichi.jp/news/20141115k0000m010116000c.html

民主党は14日、党本部で消費増税への党方針を協議する緊急会合を開き、景気回復が進まず増税できる環境にないとして、来年10月の消費税率10%への引き上げを凍結すべきだとの考えで一致した。これまでは予定通りの増税実施を主張してきたが、国会議員の定数削減など消費増税を決めた自民、公明両党との3党合意の前提も崩れたとし、方針を転換した。

枝野氏は「安倍政権の(議員定数削減などの)約束破りと経済失政で、多くの国民はさらなる負担増を受け入れる状況にない」と指摘し、党の方針として消費税増税を凍結する意向を発表。

民主党の消費税増税先送り容認に関して、菅義偉官房長官は14日の記者会見で「驚いた。『えーっ』という感じだ。」と述べたそうですが

「経済失政」批判に反論=菅官房長官
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014111400793

その後、さらに先送りどころか、党として消費税増税凍結の方針を決定したということは自民党にとっては完全に誤算だったでしょう。一方で、自民党は、消費税増税先送りの方針を固めると同時に、「景気条項」削除を検討し、1年半の増税増税先送り後には、それ以上増税を先送りすることを不可能にしようとしています。

「景気条項」削除を検討=消費再増税先送りで―政府
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141114-00000186-jij-pol
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201411%2F2014111400952

今回の解散総選挙で、安倍首相は当然、消費税増税の問題を選挙の争点とし「消費税増税先送りの与党自民党VS消費税増税強硬派の野党」という構図を実現したかのでしょうが、このままいくと、むしろ「2年半後に消費税増税の自民党VS消費税増税凍結の民主党」という構図となり、完全に自民党の考えていた選挙プランが崩れることとなります。

まさに策士策に溺れるといったところでしょう。今回の解散総選挙は、一部で、「大義なき解散」「自民党の浅はかな延命措置に過ぎない」との批判の声も上がっていましたが、自民党は完全に梯子を外されたカタチになりました。

野党がgdgdの状態で不意打ち的に解散の意向を固めた安倍首相と、解散がほぼ確定した直後のタイミングで消費税増税凍結の方針を発表した民主党。自民党も民主党も、互いに政権運営時には公約違反を連発しており、ほとんどタヌキとキツネの化かし合いのような様相を示した攻防ですが、今回に関しては民主党の方が1枚上手だったのではないでしょうか。

逆に自民党は非常に厳しい立場に置かれます。何しろ、国民の7割が反対している消費税問題では、「2年半後に消費税増税の自民党VS消費税増税凍結の民主党」という構図になるので、消費税問題を争点とすることは出来なくなりました。一方で、民主党は、今回消費税増税凍結の方針を表明した際に、同時にアベノミクスの失敗についても言及していますので、当然民主党は選挙の争点を「アベノミクスの成否」に置くでしょう。つまり、自民党は、消費税総勢で経済を大幅なマイナス成長に叩き落としたそのタイミングで、経済政策の成否を問われるカタチで選挙に挑まなければならないのです。

もちろん、今回の選挙で再び民主党が政権を奪還する可能性は非常に低いと思われますが、マスコミの報道如何によって選挙結果は大きく左右されるでしょうし、少なくとも自民党が大幅に議席を減らすのはほぼ確実です。

当然、自民党が大きく議席を減らせば党内でも安倍首相の責任は追及されるでしょうし、特にアベノミクスの成否を問う選挙において自民党が議席を減らすならば、アベノミクスの経済政策は方針転換、あるいは少なくとも大幅な見直しが求められることとなるでしょう。

西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

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