フラッシュバック 90s【Report.25】3月7日「慰安婦問題」が政治的決着する日?~90年代の負の遺産シリーズ~

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Report.20でも軽く触れましたが、90年代は80年代までの「ジャパンアズ№1」の感覚が抜け切っていない状態で、冷戦構造が崩れた、「ポスト冷戦期」に踏み込んだ時代でした。

そんな幼稚な外交センスで作り出した様々な負の遺産が90年代には眠っています。今年の3月7日、その1つに対して、国連が公式見解を発表します。それは、いわゆる「慰安婦問題」です。

「慰安婦問題」についての詳細は、昨年の日韓合意の関連などで、ASREADでも大きく取り上げられていましたので、そちらでご確認ください。

私としては、これは「歴史認識」などというロマンティックな話ではなく、国内外入り混じった、政治・外交問題だと考えております。場合によっては、拉致問題と絡められて、「東アジア地域における政治問題」と一括りにされ、他の政治・外交的な問題との利害関係にも含まれてくるでしょう。

そもそも、この問題を俎上に挙げたのが、1993年に発表された「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」いわゆる「河野談話」だったといえるでしょう。

河野談話に見える偽善と独善

さほどの長さではないので、せっかくですから、全文を引用してみようと思います。

 いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。

瑣末な議論は置いていたとして、私が小学生のころから感じた「イヤーな感覚」は「歴史の真実」という文言に尽きると思います。

歴史は書き換えることがいかようにもできるものです。英語でいえば、「History」、つまり、ストーリーなわけです。見る視点、書く視点が変わればそんなものはいくらでも変わるわけです。その歴史の「真実」みたいなものを追い求めるなど、「中2病」をこじらせているといわれても仕方がない状態です。

→ 次ページ「国連での対日審査の議題の1つに。。。」を読む

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西部邁

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