「労働はロボットに、人間は貴族に」が実現する経済制度とは

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英国オックスフォード大学で「今後20年のIT化の影響で、米国における702ある職業のうち、およそ半分が失われる可能性がある。」というレポートが発表された。

更に30年後、40年後を考えた時、我々の社会が市場原理主義に支配されていたら、人間はロボットに敗れ、職を奪われ失職する。更に働かざる者食うべからずという考え方が支配していたら、「人間は食うべからず」という社会となり、絶望的な未来がやってくる。

しかし、発想を転換し労働はロボットに任せ、ロボットが供給してくれた財・サービスを人間が使う、あるいは財・サービスを人間に分配をするという考えなら「労働はロボットに、人間は貴族に」という素晴らしい経済システムが実現する。

この考えに基づいて、果たしてそのような経済システムはどのようにすれば実現するかを考えてみよう。国、家計、私企業、国営企業の4つの部門に分けて、資金の流れを考えてみた。その詳細をここで示すのは無理なので、以下のサイトを参照して頂きたい。

「労働はロボットに、人間は貴族に」が実現する経済制度とは

現代においては、国営企業の民営化は推奨されている。「民間でできるものは民間で」ということだ。しかし、未来の民間企業に人間はほとんど働いておらず工場にはロボットばかりがいる。人件費のかからない民間企業の経営者は自分でろくに働らかなくても莫大な利益を得て、富みの集中が起きる。

だから未来の世界では逆に「国でできるものは国で」という考えで、完璧にロボット化が進んだ企業を国営にし、国営企業でできるだけ財・サービスの供給を行うべきだ。そこで得た莫大な利益で、多数の国民を雇い給料を払う。その給料で国民は財・サービスの購入が可能となる。

上記のサイトには、そのような未来社会の一例での資金の流れを示した。国営企業が圧倒的に大きく、私企業は小さい。私企業はロボット中心なので、収入に比べ人件費は非常に少ない。一方国営企業はロボット中心で財・サービスの供給をしているのにも拘わらず、人件費の割合が高い。

これは生産に直接携わらない「労働者」を多数雇っているということであり、「貴族」のような生活ができる「従業員」である。現代の社会において、給料を貰おうとすると、何らかの形で誰かのために役立つ仕事をしなければならない。

しかし、ロボットが労働を引き受けてくれる理想社会では、必ずしもそれは必要がない。例えそれが自己満足に過ぎないとしても、自分が楽しめる「職業」に就けば良い。

作家、タレント、小説家、俳優、評論家、記者、料理人、デザイナー、科学者、研究者、発明家、音楽家、カメラマン、芸術家、
陶芸家、園芸家、棋士、落語家、プロスポーツ、教師、等がある。

現代では、このような職に就こうと思えば競争に勝たなければならないが未来社会では競争に勝てなくても自分が好きな職業に就ける。未来社会では、こういった人達を、国営会社で雇い活動を支援する。国立の研究所を大幅に拡充する。

科学技術関連の研究所はもちろん、文化、陶芸、音楽、栄養、スポーツ等に関する研究所も大規模につくり、大学への助成金を思い切って増やし、研究活動や教育に充分な資金を与える。大学も増やすと良い。例えば、水泳を専門に教える大学をつくる。そして全国に国立の水泳スクールをつくり、水泳大学で科学的トレーニング法を学んだ卒業生が、水泳スクールの指導にあたる。

このような一見無駄に見える「労働者」を多数雇う国営企業は破綻するのではないかと心配するかもしれない。しかし、ここではロボットがしっかり生産し、素晴らしい商品を生産しているし、それは間違いなく売れるから巨額の収入が得られ破綻はあり得ない。

要するに発想の大転換が必要なのだ。

小野盛司

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西部邁

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