外国人投資家はアベノミクスは失敗だと評価している

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2%のインフレ目標達成失敗、世界の先進国の中で際立って低い経済成長率などアベノミクスの失敗が露呈した現在、外国人投資家は動いている。

東京証券取引所は10月6日投資部門別の株式売買動向を発表した。それによると外国人投資家による売りが買いを上回る「売越額」は6兆1870億円に達し、1〜9月としては過去最高になった。
円高で景気低迷が続いていること、英国のEU離脱問題の影響が考えられる。この売越額にしては株価の下落幅が小さいのは、日銀や年金積立金GPIFが買い支えているからである。

不動産も同様である。都市未来総合研究所がデータを公表した。海外勢による1〜9月期の売越額は過去最大の5950億円となった。株も不動産も日本売りが続いている。

一方で日本国債では逆の動きがある。財務省の対内証券投資によると、中国から日本国債への証券投資は今年1月から8月までで8兆9000億円の買い越しとなった。
一方で中国は1月から8月までに米国債の保有残高を約5兆円減らしている。その理由は米国は景気が良くて、近い将来金利が上がっていく見通し(つまり米国債は下がる)であるが、日本は景気が長期低迷しており、金利は今後も上がらない(つまり日本国債は下がらない)と判断できるからである。

やはり外国人投資家の目で見てもアベノミクスは失敗し、日本経済は長期低迷から抜け出ることができないのは明かなのだろう。国内の企業も経済低迷が続くとみて、国内投資をせず、海外投資をしようとしている。このためにはドル資金を求めている。
ドル調達コストも需要と供給の関係で決まるのだが、最近はドル調達コスト(対円の上乗せ金利)が高止まりしている。逆に言えば、ドルを保有する外国人投資家が円を調達するのには有利にはたらくわけである。

これだけ悪いニュースばかりでアベノミクスの失敗が明かなのだが、安倍内閣の支持率は下がらない。その原因は明かで、政権交代可能な野党が存在しないことにある。「2位じゃあダメなんですか」と言った蓮舫氏には期待できないし、増税に命を賭けた野田氏は最悪だ。
自民党内の次期首相候補の石破氏も、「財政規律が緩んでしまったらハイパーインフレしかないと強く認識している」と発言しているからデフレ下での緊縮をやりたいのだろう。

金融も機能不全だ。金融機関は何をやっているか。政府が国債を売りそれを買った銀行が日銀に転売して巨額の利益を得ている。こんな気楽な商売はないし、こんな巨額の無駄を誰も追求しない。こんなことをしなければ銀行の経営が成り立たないような不況から一刻も早く脱却すべきだ。
銀行の本来の役割は国民からお金を集めて投資のための融資を行って利ざやを稼ぐことだが金利低下でそれができない。

財政を拡大すれば、景気が回復し、お金が回り出し、国民に将来への希望が生まれ、すべてが良い方向に動き出すのに、政治家はだらしない。なぜ財政を拡大しないのかと言うと「ハイパーインフレ、国債暴落、財政規律」といった時代錯誤の決まり文句が返ってくる。
その一つ一つを取り上げて詳しく議論しようとしても、もはや議論に飽きたか、何が問題だったか、もう忘れてしまっているようだ。

小野盛司

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