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8月30日の日経の大機小機に「日銀総裁が人工知能だったら」という記事が載った。これぞ我が意を得たりと思った。人工知能の発達は素晴らしい。チェスや将棋のみならず囲碁でも人間を上回った。一方ではかつて驚異的な経済発展をしてきた日本経済は、馬鹿な政治家の間違った政策により、一気に世界一の発展しない国に成り下がってしまった。筆者の提案は政府・日銀を人工知能に置きかえてしまうことである。その方が人間よりはるかに正しい政策を打ち出すから。
世界一豊かな国になりつつあった日本経済を、不況のどん底に落としたのが1990年頃から始まったバブル潰しだ。馬鹿な政治家は、当時高騰を続けていた地価を半分に引き下げれば、国民は2倍の土地を買えるだろうと考えた。しかし、領土の面積は一定なのだから、日本人一人当たりが所有できる面積の平均は37万キロ平方メートルを人口で割った面積であって、地価には関係ない。政府は総量規制を行い融資に枠をかけ更に1990年には公定歩合を6%に上げ土地を買いにくくした。
カネがなければマイホームは買えないから土地は下がった。マイホームの値段は下がったが、新築住宅着工件数は下がっていったから本来の目的とは逆の結果となった。
バブル潰しのお陰で深刻なデフレ不況に陥り現在に至るまでデフレ脱却はできていない。その間何度も景気対策は打たれているが、いずれも規模が小さすぎデフレ脱却は実現していない。現在の名目GDPは1997年のレベルより下回る。
社会保障財源は消費税などとして消費税増税を強行したが、これも馬鹿な話だ。デフレ脱却をしたいなら当然増税でなく減税だ。消費税は安定財源などと馬鹿なことを言っているが、景気が悪化すれば税率を上げないということをしていれば消費税は安定財源とは言えない。景気によって大きく変動するではないか。
もし政府・日銀が人工知能であったら、地価を半分に下げようなどという暴挙は行うわけがない。バブル崩壊は不良債権を発生させ経済に深刻なダメージを与えるのだから、人工知能なら崩壊しないよう、ソフトランディングを試みるだろう。直ちに金利を下げ、強力な経済対策を行っただろう。経済対策はできるだけ速やかに行うだろうし、十分でないと判断されれば、十分景気が回復するまで追加の対策を次々うちだしただろう。
「経済対策は有効でないのかもしれない」などと迷うことはあり得ない。人工知能は過去の膨大な経済データを記憶しており、どの規模の経済対策がどれだけ効くかを完璧に定量的に理解しているからだ。
人工知能は「国の借金」とか「財政規律」とか「プライマリーバランス」とかに縛られることなく、どうやって経済を発展させ国民を幸福にするかということに集中する。一方で人間が行う経済政策はこれらに縛られて身動きができない。水泳レースに例えれば、日本は手足を縛られ、諸外国は手足自由である状態で競うようなものだ。日本は負けるに決まっている。手足を縛っていた縄をほどいて人工知能が最速の泳法を考え出したら、再び世界に勝てるのは間違いない。財政規律はデフレ経済の日本にとって最悪の規制であり、今求められるのは財政規律という規制を緩和することだ。
「国の借金」とか「財政規律」とか「プライマリーバランス」とかに関する問題は景気がよくなれば、解決するのだから、人工知能はひたすらに景気回復を目指すだろうし、それでよいのだ。
小野盛司
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