フラッシュバック 90s【Report.18】成人式を荒らした新成人の心理と今

自由の代償は使い捨てであること

パブリックな空間は、権力や地縁、伝統などによる外圧によってルールがコントロールされています。確かに、不条理な面もありますが、かなりの長期間にわたって不変であります。

しかし、プライベートな空間にはそのような保障はどこにもありません。自分がその集団を選択する自由があると同時に、集団から捨てられる可能性も常につきまとうわけです。それこそ「KY」とレッテルを貼られた時点で終わりなわけです。

自由であるがゆえに、使い捨てであり、そのために、旧来の地縁社会とはまた違った同調圧力がかかってきます。さらにいえば、往々にして、学校の同級生など、同年代がほとんどを占める集団であり、歯止めをかける役にまわる人々もいません。

そうした、ロジックがパブリックに現れ始めたのが、90年代の成人式だったといえるでしょう。

あの日の新成人たちをマーケティングしたアラサー

2005年頃から、よく聞くようになった、「アラサー」という言葉。おおよそ、27歳から33歳までの世代をさしています。

ちょうど、この言葉が生まれた時点のアラサーは1972年から1977年生まれで90年代、荒れた成人式の渦中にいた世代でもあります。

上のように、パブリックな世界をプライベートな世界で作り変えていく趣向のある世代が表に出てきたと捉えると、特に「アラサー女子」という言葉や、2005年以降のAKB誕生による、アイドルを中心とした男性コミュニティの生成などは、プライベートな空間でパブリックな空間を席巻していく典型的な例だったのではないかと思います。

あの日の新成人は今いずこへ

さて、現代においては、この世代の抱えているキーワードは「未婚」です。

結婚というのは不思議なもので、自分の生涯のパートナーを選ぶという非常にプライベートな選択でありながら、結婚という契約を「婚姻届」という形でパブリックなものにしなければなりません。

上記しましたが、婚姻関係においては、学校の友達のように簡単にくっついたり離れたりというわけにはいかず、離婚の経歴があれば、戸籍上に「バツ」がついていくわけです。

コミュニティからコミュニティへと転々とする自由とその代償として人に捨てられることを受け入れてきた世代にとって、結婚とは一体どう映っているのか。これからの社会を読んでいく上で、非常に重要なキーワードになっていくでしょう。


※第19回「フラッシュバック 90s【Report.19】今年の新卒社員対策にエヴァを使ってみる」はコチラ
※本連載の一覧はコチラをご覧ください。

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西部邁

神田 錦之介

投稿者プロフィール

京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。
大切なことを伝えることとエンターテイメントは両立すると信じ、「ワクワクして、ためになる」文章をお送りします。

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