第二の分け方:昭和の終わりと平成の初期
2つ目の分け方として、象徴的な出来事は、1989年の昭和天皇の崩御、昭和時代の終わりです。
明治以前は、天皇1代に対して、いくつもの元号が存在していました。それが、明治時代になり、明治天皇による「一世一代の詔」が発せられることによって、天皇が代替わりするまでは元号を変更しないことになったわけです。
そのため、昭和という元号は天皇の長い歴史の中でも、最も長い元号となりました。その影響か、昭和生まれの人々は自分たちの生まれた年を昭和~~年と表現することが多いです。例えば、野球選手は昭和40年会などというサークルを作ったりしています。それほど、昭和というものが大きい存在だったがゆえに、日本国内においていえば、昭和の終わり=90年代の始まりと捉えることは実感の伴った感覚ともいえるわけです。
また、作家の北康利氏が講演で興味深いことを語っていました。
昭和天皇が崩御した1989年というのは昭和天皇以外の“神様”と呼ばれた人々も亡くなった年。1人は経営の神様、松下幸之助。もう1人は、歌謡の神様、美空ひばり。こういった意味で、1989年は昭和の終わりを象徴する出来事が続いたわけです。
1989年は元号が変わっただけでなく、昭和を支えた人々が次々になくなった喪失感が伴った年と言えます。そういう意味で、平成時代の初期10年ほどは、90年代という認識で間違いないわけです。
第三の分け方:株価は上がらない時代
第三の分け方では株価を見たいと思います。上で述べた、昭和最後の年は日経平均株価の終値が38,915円と、現在の2倍以上の高値をつけていたときでした。(下図参照)
その後のトレンドは、多少の持ち直しこそあれども、昭和の終わりには大きく及ばない株価で推移しています。
株価の下げトレンドは2002年頃まで続きますが、これは、間違いなく小泉内閣が成立し、規制緩和と米国追従型の金融政策の成果といえるでしょう。
つまり、株価で見た場合にも、昭和の終わりが、90年代のはじまり、そのトレンドは、小泉内閣による株価上昇トレンド(これは格差固定化のはじまりでもあるわけですが)が始まって、90年代が終わったという印象になったといえます。
まとめ:日本の90年代とは?
それでは、まとめに入りたいと思います。
上の3点の考察から、90年代の定義は以下のように設定したいと思います。
「昭和が終わった1989年から911テロが起こる2001年までが日本における90年代である」
ですので、一般的な90年代論とは少し違ったものになるかもしれませんが、どうぞお付き合いいただければと思います。
Report.2までは少し硬い話が続いたので、Report.3では少し、柔らかい話をしたいと思います。
テーマは「ドラマ」です。
※第3回「フラッシュバック 90s【Report.3】
90年代前半にあらわれた「なりたい自分」と「トレンディドラマ」」はコチラ
※本連載の一覧はコチラをご覧ください。
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