フラッシュバック 90s【Report.2】20世紀のボーナストラックとしての90年代

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さて、Report.1では「どうして90年代を今振り返るのか」ということについて少し説明させていただきました。

Report.1を読まず、この記事にいらっしゃった方のためにかいつまんで言うと、
「近代日本においては、20年ぐらいの単位で再生産が繰り返されている」
ということです。

この企画が2015年のものなので、20年といえば、おおよそ1990年代に遡ります。そこで、次のトレンドを知るためにも、また在りし日を懐かしむ意味でも、90年代をさまざまな切り口で振り返ってみようというのが本企画の狙いです。

では、90年代というのはいつからいつまでなのか?

そこを今回のテーマといたします。

時代は出来事に始まり出来事に終わる

先日、カウントダウンTVの過去を振り返る企画で、1990年代を取り上げた際、きちんと1990年から1999年までの各年に流行った曲を取り上げていました。

年数で分けるのは非常にわかりやすく、逆に議論の必要もない方法だと思います。しかし、自分の生活を振り返ったときに、月曜日には連休の気持ちを引きづり、本格的に仕事に取り組みだしたのは火曜日ぐらいだったという経験がないでしょうか?

時代も同じように、ただ、時間が経ち、数字が1989年から1990年に変更されたからといって、時代が表情を変えるわけではありません。
Report.1で取り上げた、40年周期の話ですが、いずれも象徴的な出来事を中心にして世代を分けました。同じように90年代という時代を考える場合も出来事で分けていきます。

第一の分け方:1991年のソ連崩壊から2001年の911テロまで

どの出来事で区切るかというのは、非常に難しいところではありますが、私の方からいったん、3つの分け方を提示したいと思います。
まず、第一の分け方についてです。

私が京都大学に在学していた頃、安倍政権のブレーンの1人といわれる中西輝政氏が以下のようなことを述べていました。

国際政治の観点からすると、20世紀の始まりは、ソ連が建国されたときであり、終わりはソ連の崩壊で迎えた。
一方で、21世紀の始まりは911テロで幕開けした。

この視線は非常に興味深いと感じ、メモを残しておいたものです。

この定義を援用して、私は、90年代を「混沌とした21世紀幕開けまでのボーナストラック」と考えました。

ご存知の方も多いと思いますが、ボーナストラックとは、音楽CDでメインの楽曲とは別についてくる特別な楽曲=トラックのことです。

このボーナストラックの方が本編よりも良いことも、あるいは蛇足なときもあるのですが、いずれにせよ、「作品の一部だけど本編ではない」という美味しい立ち位置です。

具体的な年数で考えると、ソ連崩壊は1991年で、911のテロは2001年でした。暦とは1年ほどずれていますが、この10年が第一の分け方です。

→ 次ページ「第二の分け方:昭和の終わりと平成の初期」を読む

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西部邁

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