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政府予算に無駄がないか有識者が点検する「行政事業レビュー」が11月12日に行われ、スパコン「京」について、コスト削減を求める意見が相次いだ。民主党時代には事業仕分けで蓮舫参議院議員が「2位じゃあだめなんでしょうか」と発言し、ひんしゅくを買った。
スパコンは何に使うかと言えば、例えば空気抵抗の少ない車を設計したり、莫大な費用がかかる創薬のシミュレーションをしたり、津波の災害予測をしたり、用途は無限に広がる。それを語る以前に、世界がどのような方向に進んでいるかを理解しておく必要がある。
11月14日の日経の記事にタイ最大財閥のチャロン・ポカポンがベルギーで無人工場を建設し、1日10万食の弁当を作るというのがあった。これまでは、先進国の企業が労働力の安い途上国に工場を建設するというのが、定番だった。今回のお話は途上国の会社が先進国にロボットによる無人工場を建設するというものだ。無人工場ならば、雇用は発生しない。それどころか、同様の弁当を作っていた人達の雇用は確実に失われる。そして利益は本国に持って行かれてしまう。
今後、こういった国の垣根を越えた工場が今後次々と世界中に造られるのは間違いない。そこにはTPPどころではない大変な事態に陥る危険性が潜んでいる。IT・ロボット・人工知能の分野での勝利者が世界を制覇する。戦いに敗れれば雇用も富も奪われるが、勝利すれば少なくとも富を自国民に分配できる。もちろん、社会保障の財源にだって使える。そういう意味でなんとしてでも、国際競争に勝たねばならない。その意味でIT・ロボット・人工知能の分野にはどんなに投資しても投資しすぎることはない。
11月15日の新聞には、東大を目指す人工知能(東ロボくん)の偏差値が大幅アップしたという記事が載った。大学センター試験の模試では2科目ある数学が75点と77点、世界史は76点だった。受験者の平均点はいずれも40点台で、偏差値は60を超えた。東大合格はまだ無理だが、私立大学の441大学1055学部、国立大学でも33大学39学部において合格可能性80%以上だそうだ。
自分の息子が東大に入れば、親は大喜びだろうが、それはたった一人。日本経済全体への影響は微々たるもの。しかし人工知能は違う。東大生並の人工知能を一つつくることに成功すれば、そのコピーはいくらでも作れる。日本人全員が東ロボくんに無料で質問し、正確な答えを得ることができるようにすることも可能だ。製品の取り扱いの説明、様々な案内、病気の診断、その他あらゆる種類の質問に答えるようにすることもできる。
小野盛司
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