ニッポン株式会社の「神話」とザッカーバーグの「奇跡」~全ては経済成長と財政健全化のために~

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汚れたマネー 腐った官僚 腐った政治家に大企業
腐った国家 ニッポン株式会社 やつらが悪い 俺は被害者

上は日本のラッパー、RHYMESTERの「The choice is yours」の歌い出しです。

「腐った国家」というのは言い過ぎかもしれませんが、昨日発表された内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針2015 ~経済再生なくして財政健全化なし~」というレポートを見ると、私が気づかなかっただけでしょうが、日本という国家は、少なくとも明治以降、「ニッポン株式会社」として運営してされてきた感が拭えません。

成熟国家の経済成長論

賢明な皆様はご存知だと思いますが、経済成長というのは要するにGDP(国内総生産)の前年に比べての増加率で計ることができます。

ちなみに、GDPの最も単純な計算式は以下のようになります。

GDP=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)

輸出や輸入がない前提の式なので、現実的にはありえない基本モデル、いずれにせよ、国内のGDPを増やしていくためには、3パターンが考えられるわけです。

①個人消費を上げる(C)
②企業などによる投資を増やす(I)
③政府による公共投資(G)

ただ、日本のように先進国になり、成熟した国家においては、個人消費や投資が増えづらくなります。ただ、政府による公共投資が増えていくと、赤字国債の発行につながるわけです。

いわば、財政健全化と経済成長のどちらも実現する政策においては、公共投資を削減しつつ、消費や投資を刺激して、GDPを増やしていかなければいけないわけです。

投資拡大のための格差社会

2014年12月31日のウォールストリートジャーナルの記事で、合衆国における上位の富裕層(全人口の1%)とそれに準ずる富裕層(全人口の19%)、そして中間層(全人口の60%)、それぞれの持つ資産の割合の比較が行われています。

特徴的なのは、富裕層になればなるほど、自宅以外の不動産投資や事業資産、株式の投資などが増えていっていることです。逆に、中間層の主な資産は、自宅の不動産、生命保険、年金保険などです。

現状として、政府は個人の消費拡大の方策として、デフレ脱却と賃金上昇を掲げていますが、そもそもデフレの問題はグローバルな市場で発展途上国とのコスト競争の結果あり、解消するには、保護貿易を行って、国内の市場と産業を守ることが必然のはずです。しかし、現実はTPPへの加入に代表されるように、さらに開かれた市場を目指しています。

そう考えると、アベノミクスの本命は富裕層へ富を集中させ、その富裕層が国内において投資を行っていくように仕向けていくことでしょう。ただ、その考え方は、「富裕層が日本のことを思い、経済を回す人々である」という大前提があり、現実的ではありません。三橋貴明さんも2014年の4月のメルマガでもこの前提を「神話」として批判されています。

アベノミクスが頼るのはその「神話」ではなく、日本でFacebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏のような起業家が続出する「奇跡」なのです。

私たちがマーク・ザッカーバーグになる「奇跡」の価値は?

5年前に公開された映画「ソーシャルネットワーク」では、創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏が大企業から次々と事業買収の話を持ちかけられていました。

優秀な事業を起こすことができれば、大企業はその権利を買収しようとしてきますし、現に、そうして資産を増やし、次の事業を起こしては大企業に権利を売ることを続けていく起業家も大勢います。

初めにあげたRHYMESTERの「The choice is yours」の最後はこう締められます。

2度と神話は信じないが その島の奇跡を信じたい don’t you?

私たちは「奇跡」の体現者となれるのでしょうか。

西部邁

神田 錦之介

投稿者プロフィール

京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。
大切なことを伝えることとエンターテイメントは両立すると信じ、「ワクワクして、ためになる」文章をお送りします。

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