【書評】LINEは何を捨てて勝ち、ソニーは何を守り負けたのか?

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過去の成功を捨てられない企業を待つのは、破滅のみ…。14万人以上もの読者を誇る無料メルマガ『ビジネス発想源』を配信する弘中勝さんは、LINEの元CEO・森川亮氏の著作を紐解きながら、そう断言します。日テレからソニー、LINEへと渡り歩いた森川さんだからこそわかる、俯瞰で見るビジネス論をどうぞ。

今の事業を捨てる覚悟

最近読んだ本の内容からの話。

1989年に日本テレビに入社した森川亮氏は、コンピュータシステム部門に配属され、ネット配信など様々な新規事業を立ち上げた後、2000年にソニーに転職した。

大企業2社に勤めた後、2003年に、まだ当時は無名の小さなゲーム会社だったハンゲーム・ジャパン株式会社に入社し、2007年には同社の代表取締役に就任。同社は大ヒットアプリ「LINE」を生み出し、LINE株式会社と社名を変更した。

森川氏はソニーに在職中、モバイル事業を提案する部署に所属し、モバイルとコンテンツをネットでつなぎ新規事業を立ち上げようとしていた。

当時、ソニーもアップルのiPodと同じようなアイデアの製品化を進めていたが、森川氏はプロダクトがどんどん歪んだ方向へ向かっているように思えてならなかった。自社所有のコンテンツの違法コピーを防ぐために厳重な技術的制限をかけようとしていたのである。

確かにコンテンツが違法にコピーされれば、著作権社の利益も自社利益も守ることができない。しかし、そのためにユーザーが求めていないものを作ってしまうことになる。

その結果、ソニーの新製品はインターネットという「新しいもの」への対応を誤り、「守るべきもの」のなかったアップルに負けてしまった。その失敗をソニーの中から見ていた森川氏は、ハンゲーム・ジャパンに入社後、同じ過ちを犯すことになる。

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西部邁

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