TPPは日本がアメリカに攻められるという単純な話ではない
説明会では時間の都合もあり、そこで話が終わってしまいますので、この機会にはっきりさせておきたいのですが、TPPに不安を抱いている人たちは、何も日本がアメリカに攻められることだけを恐れて調べものをしたり、質問をしたりしているわけではありません。むしろ途上国を攻めることは、日本が自由貿易協定を利用して途上国の主権を侵害することになり、結果として日本の国柄を壊すことにつながるので、そちらも反対なのです。
TPP協定は自由貿易の名のもとに、国と国との貿易交渉を超えて、一般の生活者や労働者の利益をないがしろにして、多国籍企業の利益を最大限にするために考えられたルール作りになっていることや、わざわざ日本の非関税障壁を詳細に分析して米国に伝え、これをなくせばもっと日本市場に食い込めますよと進言している日本の官僚がいることが問題なのですから、こちらが何か懸念を伝えたときに「アメリカが」と考えていると判断するのは止めていただきたいものです。
今後も、グローバル・バリューチェーンやレベル・プレイング・フィールド(公平な競争の場)といった良く分からないカタカナで表現された、全くないとは言わないにせよ一般人にはあまり関係のないTPPのメリットや、自由や透明性などといった耳触りの良い言葉が並べられていくと思います。そうした言葉遊びに惑わされることなく、私たちの生活を知らないうちに変えてしまう可能性もあるものとして、TPPを始めとする自由貿易協定に目を光らせておくことが必要です。
注1:米韓FTAの概要(2012年3月外務省作成資料)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/pdfs/tpp20120327_10.pdf
注2:TPP協定において慎重な検討を要する可能性がある主な点(2011年11月外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/pdfs/tpp02_03.pdf
注3:内閣官房澁谷審議官による記者ブリーフィングの概要(2014年7月6日TPP政府対策本部)
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2014/07/140706_shibuya.pdf
注4:SPS委員会(農林水産省消費・安全局消費・安全政策課 更新日:平成22年6月1日)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/sps-committee.html
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