なぜ、都知事選で家入一真は惨敗したのか?~ネットリベラルと左翼の共通の陥穽について~

家入一真の読み違えの前例。それは戦後左翼にあり。

このようなある種の勘違い、認識のズレといったものを見ると、なんとなく私は旧来型の戦後左翼の失敗を思い出します。「われこそは、弱者の味方なり!!」と勇ましく声を上げてはみたものの、戦後の復興や高度成長を経て、左翼の想定する典型的な社会的、経済的弱者というものはどんどんいなくなっていってしまった。そこで、本当にいるのかいないのかもよく分からない、差別に苦しむ部落民や、日本社会で迫害される在日の人々などを持ち出し、「ほら!!こんなところに弱者がいるではないか!!日本社会はもっと彼らに救いの手を差し伸べるべきだ!!」と言ってみせる。その後、バブルを迎えジャパンアズナンバーワンを合言葉に未曾有の繁栄を謳歌した時代を経て弱者の数はさらに減っていき、ついには外国人参政権の推進や、韓流ゴリ押し報道などといった呆れるほどの偽善や欺瞞を用いることで、世間から完全にそっぽを向かれた(そして、再び原発問題でにわかに息を吹き返しつつあるが…)彼ら旧左翼の失敗をです。

結局、家入一真もこの旧左翼とほとんど同じ失敗をしているのではないでしょうか?彼もまた、自分たちにとって都合の良い弱者を想定し、「彼らにやさしい社会を実現しよう!!」と叫びましたが、しかし、本当にそんな実際にいるのかいないのかすらよく分からない想像上の弱者などというものに優しくしようと叫ぶ姿を見て大多数のまあそれなりに楽しく生活してる人々からそっぽを向かれたのです。ネットという新しいツールを得て、新しいリベラルのカタチを装ってはいるものの、やっていることはほとんど旧左翼への先祖返りに過ぎないのではないのか?と言ってしまうのはあまりに酷評過ぎるでしょうか?

人を助けずにはいられないような共依存的心理のことを、心理学用語でメサイアコンプレックスと呼びますが、自分たちにとって都合の良い弱者を勝手に想像し、場合によってはでっち上げ、「私たちは彼らを救うのだ!!」と叫び声を上げて立ち上がる彼らの裏には、もしかしたらベッタリとそのような心理が貼り付いているのかもしれません。であれば、まずもって彼らがやるべきことは、最新のツールと最先端の技術を如何に駆使して支持を得るかに苦心することではなく、むしろ、もっと自分自身の内面を反省し、「うーむ、自分の言っていることはあまりにも立派すぎないか?」と考え、さらに「さて、このあまりにも立派すぎる発言を繰り返す自分の裏にはなにがあるのだ?」と静かに自分の心の内を見つめ直すことではないでしょうか?

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西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

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コメント

    • 田端大悟
    • 2014年 2月 28日

    なぜ家入氏が惨敗したか。
    それは知名度不足、支援組織の欠如尽が主な原因ではないのでしょうか。
    その上で5位になったのはなぜかと考えれば、松田馨という選挙プランナーが入ったお陰で新聞に家入が掲載されたり、イメージの良いポスターが出来上がったこと。ホリエモンがついたことなど、広報戦略が他の泡沫候補に比べ優れていたことが主な理由ではないでしょうか。
    逆に選挙プランナーやホリエモンがつかなかったらポスターも貼られていない、新聞に載らないという事態になった上、さらなる惨敗を喫したと思います。
    思想、政策、主張といったところで判断するにはまずその人を知るという前提が不可欠です。
    つまり選挙の結果を考える上では広報戦略がいかがなるものだったかを考える必要があると思います。
    文章を否定するわけではありませんが、家入がなぜ惨敗したのかというタイトルをつけるのであれば、その点についても触れるべきだと思いました。

      • 高木克俊
      • 2014年 3月 01日

      はい、たしかに、ホリエモンのような著名人からの支援を受けたことや、他の泡沫候補より優れた選挙キャンペーンを行った結果、他の泡沫候補と比較して、それなりの得票数を獲得したということは、その通りだと思います。

      ただ、あまり詳細に記述すると問題の焦点がボケてしまうのではないかと思い、あえて、宇野常寛氏の「若者に届かぬリベラル」という論調に合わせて解説してみました。それから、一応、田母神さんも特に有力な支持母体もなく、選挙にも初出馬で、それから両者ともにネット上での若者からの人気があるということで、比較的近い条件であった田母神さんに、なぜこれほどの差をつけられたのか?という観点から分析してみました。

      • どうもどうも。
        取り上げていただき、ありがとうございました(笑)

        ちょうどヤンキー経済の原田さんが、うちの候補者をどう見ていたのか?関心があったのでとても参考になりました。

        田端さんのご指摘のとおりだと思います。答えは簡単。準備不足、知名度不足でした(その顛末は現代ビジネスの記事読んでね)。そんなメサイアコンプレックスなんて難しいお話を持ち出すまでもありません。

        高木さんのご指摘のうち、「居場所を求めていた若者は少数派だった」は、まあ同意です。
        しかし「左翼レッテル」を貼るのは、どうかな~?僕ら宇都宮さんたちと同列ってこと?(苦笑)
        ちなみに私は「タカ派」ですよ(復古的なものには付いていけないけど)。

        家入の周りの側近を皆「サヨク的知識人」と規定されてますが、宇野さんくらいじゃないでしょうか?そういう「右VS左」という、もはや形骸化したフレームワークに当てはめようとするから、おかしくなるんではないかな。

        まあ、宇都宮さんの支援者たちも実は当方を読み違えいてて、選挙後、すり寄ってこられる方々もいるんですが(汗)、都市戦略、規制緩和等の政策については、むしろ新自由主義と批判する人もいるくらいです(本人はその気はないですが)。従来型のリベラルとは違いますよ。あー見えてもジャスダック史上最年少の上場起業家なので。

        こと「小さな政府」VS「大きな政府」論でいえば、家入は明らかに前者で、宇都宮さんたち旧来型左翼な方々は後者。価値観が多様化して、政治家のポジショニングも切り口によって複雑化しているので、単純に左翼と決めつけるのは違和感ありますね。

        もっとも、いくつかご指摘の一部は私自身も感じていたところなので、今後の活動の参考にさせていただきます。ではでは。

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