近代を超克する(14)対デモクラシー[7] モンテスキューとバジェット

2138

「近代の超克」特集ページ

 モンテスキュー(Charles Louis de Secondat de la Brde et de Montesquieu,1689~1755)は、フランスの啓蒙思想家であり、法学者です。著書である『法の精神』には、有名な三権分立論が示されています。
 ここでは権力の分立を考察するために、イギリスの経済学者であり政治学者でもあるバジョット(Walter Bagehot, 1826~1877)の見解も参照します。

モンテスキューの政体の分類

 モンテスキューの『法の精神』では、政体が次のように分類されています。

(1)共和制
・人民全体、あるいはたんに人民の一部が主権をもつ政体。
(2)君主制
・唯一人が、定まった制定法に則して統治する政体。
・原理は名誉。
(3)専制
・唯一人が、自分の意志と気まぐれにより支配する政体。
・原理は恐怖。

 さらに、共和制は次の二つに分類されています。

民主制
 → 人民全体が主権をもつ共和制。
 → 人民が代理者すなわち執政官を任命する。
 → 原理は徳性。
貴族制
 → 主権が人民の一部の手中にある共和制。
 → 主権は一定数の人々の掌中にある。
 → 原理は節度。

 モンテスキューは各政体の原理について、民主制における徳性、貴族制における節度、君主制における名誉、専制における恐怖を挙げています。しかし、この原理についての考え方は不適切だと思われます。恐怖はともかく、徳性と節度と名誉は、どの政体にとっても必要なものだからです。それらを特定の政体の原理として掲げるのは、政治を考える上で不十分でしょう。

モンテスキューによる政体の腐敗

 モンテスキューは、それぞれの政体の腐敗について語っています。

民主制の腐敗
 → 人々が平等の精神を失うとき。
 → 人々が極度の平等の精神を持ち、選んだ支配者と平等たろうと欲するとき。
貴族制の腐敗
 → 貴族の権力が恣意的となるとき。
君主制の腐敗
 → 国王がしだいに諸団体の特権や都市の特権を奪うとき。
 → 権勢者から人民の尊敬を奪い、彼らを恣意的な権力のいやしい道具とするとき。
専制の腐敗
 → その本性からして腐敗しているから、たえず腐敗する。

 民主制が腐敗するときの例として、平等が失われるときのみならず、極度に平等になるときも挙げられているのは傾聴に値します。

→ 次ページ「モンテスキューの三権分立論」を読む

ページ:

1

2

西部邁

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 2691

    2015-11-27

    テロとグローバリズムと金融資本主義(その1)

     11月13日に起きたパリ同時多発テロに関するマスコミの論調は、どれも痒い所に手が届かない印象があり…

おすすめ記事

  1. 2931
    ※この記事は月刊WiLL 2016年1月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ 「鬼女…
  2. 01
    第一章 桜の章  桜の花びらが、静かに舞っている。  桜の美しさは、彼女に、とて…
  3. 1560
    SPECIAL TRAILERS 佐藤健志氏の新刊『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は…
  4. 3096
     アメリカの覇権後退とともに、国際社会はいま多極化し、互いが互いを牽制し、あるいはにらみ合うやくざの…
  5. 1719
    ※この記事は月刊WiLL 2015年4月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ 「発信…
WordPressテーマ「SWEETY (tcd029)」

WordPressテーマ「INNOVATE HACK (tcd025)」

LogoMarche

TCDテーマ一覧

イケてるシゴト!?

話題をチェック!

  1. 3152
    「日本死ね」騒動に対して、言いたいことは色々あるのですが、まぁこれだけは言わなきゃならないだろうとい…
  2. 2918
    多様性(ダイバーシティ)というのが、大学教育を語る上で重要なキーワードになりつつあります。 「…
  3. 2691
     11月13日に起きたパリ同時多発テロに関するマスコミの論調は、どれも痒い所に手が届かない印象があり…

ページ上部へ戻る