愛国詐欺にご注意を!!~愛国心のインフレーションと、稲田防衛大臣による愛国ビジネス~

愛国者たる者、8月15日に靖国神社に参拝するのは当然の責務・・・ですよね?

ちなみに、稲田朋美大臣は防衛大臣就任前には雑誌のインタビューで「靖国参拝は絶対に譲れない一点です」と明言しています。

「私の政治家への道を開いたのは、靖國に眠る二百四十六万柱の英霊だと思っています。だから、靖國参拝は、私にとって絶対に譲れない一点です」(「致知」2012年7月号/致知出版社)

ここまで強く言い切っている一方で、防衛大臣就任後にはアメリカから、「靖国参拝しないように」というそれとなしのプレッシャーもかけられており、多くの人が「稲田大臣はどうするのだろう?」と思っていたハズです。しかし、実際に15日が近づくと、あっさりと前言を翻して8月15日にしれっとアフリカのジブチ訪問という外遊日程を入れることで、参拝を中止に・・・。国民に理由を説明することなく、外遊を入れてうやむやにするところがまたセコイです。

別に、靖国の英霊たちは稲田大臣が参拝しなかったことを残念がるようなことはないでしょうが、迷惑を被ったのは現役の自衛隊です。ジブチでがんばる自衛隊員はいち政治家の保身のために急遽出迎え行事に駆り出されるハメに・・・。

国民に覚悟を迫る前に、あなたの上司を説得してください!!

ところで、稲田朋美大臣は過去にある講演会で次のように述べています。

「国民の一人ひとり、みなさん方一人ひとりが、自分の国は自分で守る。そして自分の国を守るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです!」(講演会での発言)

私には、なぜ稲田大臣がここまで悲壮な決意で命を捧げることの重要性を説いているのかイマイチ分かりませんが、まあ、実際に状況によっては国家を守るために自身の生命を犠牲にしなければならない場面もありうるでしょう(最大限、そのような状況を回避するよう努めるのが政治家としての当然の責務であるとも思いますが)。

しかし、どうしてもこのようなセリフに関して引っかかるところがあって・・・実は、稲田朋美大臣の上司である安倍晋三総理大臣がはっきりとTV番組で、「国家のために死ぬことなんて出来ない」と宣言しているんですね・・・。

01

驚くべきは、国のトップであり、同時に自衛隊の最高責任者である総理大臣が、はっきりと国家のために死ぬことは出来ないと宣言している点です。この人はせっせと自衛隊の活動範囲を拡大する安保法案等を通しているワケですが、どんな思いで自衛隊の隊員たちに職務命令を出しているのでしょうか?「自分は、国家のために死ねないけど、君たちは僕の代わりに命を懸けて職務に専念してね!!」とでも考えているのでしょうか?それとも・・・。それにしても、「お国のために死ねない」のであれば、一体に何のためならこの人は命を懸けられるのでしょうか?安倍首相は極度のマザコンという噂もありますし、愛しいママのため?それとも、親愛なる米国オバマ大統領のためでしょうか?まあ、もうすぐオバマも任期」が切れて米国初の黒人大統領から普通の黒人になってしまうのですが・・・。

それにしても、最後に言いたいのは2点で、一つは、「稲田大臣は国民に命を投げ出す覚悟を迫る前に、自分の上司にそれだけの覚悟を身に着けさせてくれ!!」ということで、もう一つは、「普段どれだけ、愛国、だの国家のために命を懸けろ、だのと言っている政治家だって実際にやっていることを見てみればコレだけ胡散臭い人物ですよ」ということです。

18世紀の英国の文学者であるサミュエル・ジョンソンは、「愛国心は、ならず者の最後の避難場所である」と述べましたが、是非とも、「愛国心」を声高に唱えるような政治家や評論家などを見る際には、ただただ「愛国心」を唱えて自身の愚かさや卑劣さを糊塗するだけのならず者であるか、あるいは、真の国家のために自身の生命を捧げるだけの覚悟を持った真の愛国者であるかとしっかりと見極める必要があるでしょう。

現在は、「愛国心」という言葉がインフレを起こしている感すらあり、猫も杓子も「愛国!!愛国!!」です。間違っても「動物好きに悪い人はいない!!」とか「子供好きに悪い人はいない!!」なんて感覚で、「日本好きに悪い人はいない!!」なんて思わないで下さい。愛国者に悪い人はいなくても、良い人とか良い政治家とか良い評論家だと思われたくて「愛国心」を声高に叫ぶ人は世の中に溢れかえっていますので・・・。

固定ページ:
1

2

西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 2015-7-24

    ラムズフェルド回顧録

    「真珠湾からバグダッドへ ラムズフェルド回想録」書評  政治家と政治学者。  ともに政治に対…

おすすめ記事

  1. SPECIAL TRAILERS 佐藤健志氏の新刊『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は…
  2.  お正月早々みなさまをお騒がせしてまことに申し訳ありません。しかし昨年12月28日、日韓外相間で交わ…
  3.  経済政策を理解するためには、その土台である経済理論を知る必要があります。需要重視の経済学であるケイ…
  4. 第一章 桜の章  桜の花びらが、静かに舞っている。  桜の美しさは、彼女に、とて…
  5. ※この記事は月刊WiLL 2016年1月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ 「鬼女…
WordPressテーマ「SWEETY (tcd029)」

WordPressテーマ「INNOVATE HACK (tcd025)」

LogoMarche

TCDテーマ一覧

イケてるシゴト!?

ページ上部へ戻る