『日本式正道論』第三章 仏道

第四節 鎌倉仏教・法華系

 鎌倉中期に出た日蓮は、法華思想の体系化に努めました。

第一項 日蓮宗の日蓮

 日蓮(1222~1282)は、鎌倉時代の仏教者で、日蓮宗の開祖です。念仏批判の姿勢を取り、法華経の信仰を説きました。
 『立正安国論』では、〈夫れ出家して道に入るは法に依りて仏を期するなり〉とあります。出家して仏道に入るのは、法に従って成仏を目指すためだと語られています。また、〈但し仏道に入りて数(しばしば)愚案を廻らすに、謗法の人を禁じて正道の侶を重んぜば、国中安穏にして天下泰平ならん〉とあり、仏道に入って対策を考えてみると、謗法の人を禁止して正道の僧侶を重んずれば、国中は安穏となり天下は泰平となるであろうとされています。
 『顕謗法抄』では、〈月支・尸那には外道あり、小乗あり。此日本には外道なし、小乗の者なし〉と語られています。インドは外道であり小乗で、日本は違うと述べています。では大乗はというと、〈諸大乗経には中道の理王なり〉とあります。ここでの中道は、いずれにもとらわれず現実を正しく見究めることです。
 『法花題目抄』には、〈仏道へ入る根本は信を本とす〉とあります。

→ 次ページ「第五節 鎌倉仏教・鎌倉旧仏教」を読む

固定ページ:
1 2 3 4

5

6 7 8 9

西部邁

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 2014-12-24

    『永遠のゼロ』を私はこう見る

     当サイトに、藤井聡氏のエッセイ「永遠にゼロ?」(2014年9月9日 三橋経済新聞掲載)に対する木下…

おすすめ記事

  1.  経済政策を理解するためには、その土台である経済理論を知る必要があります。需要重視の経済学であるケイ…
  2. SPECIAL TRAILERS 佐藤健志氏の新刊『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は…
  3.  アメリカの覇権後退とともに、国際社会はいま多極化し、互いが互いを牽制し、あるいはにらみ合うやくざの…
  4.  お正月早々みなさまをお騒がせしてまことに申し訳ありません。しかし昨年12月28日、日韓外相間で交わ…
  5. SPECIAL TRAILERS 佐藤健志氏の新刊『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は…
WordPressテーマ「AMORE (tcd028)」

WordPressテーマ「INNOVATE HACK (tcd025)」

LogoMarche

ButtonMarche

TCDテーマ一覧

イケてるシゴト!?

ページ上部へ戻る