前代未聞!!ネット上の批判に首相が激怒?!~安倍首相の経済への無理解~
- 2016/2/3
- 社会
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日本経済の二つの問題
未だにデフレから脱却できない日本経済の状況と、先の雇用の質の問題を考えた時、現在の日本経済には大きく分けて二つの問題があるように思います。まず、一つは単純な需要不足によるデフレの問題。現在の日本の国債10年国債の利回りが0.23%という驚くべき低水準にありますが、このような明らかな需要不足の状況でも安倍政権は増税や財政健全化路線を押し進めており、これがデフレから脱却できない非常に大きな要因となっています。これを解決するには積極的な財政政策が不可欠なのですが、なかなかそれが出来ていないのが現状です。
もう一つは、先に挙げた雇用の質の問題です。製造業の生産拠点が海外へ移転し、国内の様々な業務が効率化される中で、中程度の技能を必要とし高い賃金を得られる製造業の仕事が減少し、国内の雇用の多くが非常に高い賃金を得られる超高技能の知的労働と、低賃金のサービス労働に二分されていく、雇用の質の二分化と共に中間層が減少し、格差が拡大するというのは先進国に共通した傾向ですが、日本も完全にこのパターンにハマりこんでいます。
このような問題をある程度でも認識している人たちは、「安倍政権になってから、こんなに実質賃金が低下している!!」「こんなにも非正規の労働者が増加している!!」と批判するのですが、その際に決まって出てくる反論が、「就業者数は増加した!!」「失業率がこんなに低下した!!」というものです。そもそも、雇用の質を問題視しているのに、「こんなに雇用が増えた!!」と反論してくるのですから、なかなか議論がかみ合いません。さらに、このように反論する人の多くが、「すぐには雇用の質は改善しないが、このまま景気が回復し、低失業率の状況が続けば、雇用の質も回復し、実質賃金は上がり始める!!」と主張しますが、現実には先に述べたように現在の日本の雇用の質の低下は日本の産業の構造的変化や、労働の制度の変更によるものであるので、労働市場の需給バランスの変化に伴い自然に回復するような性質ではないのです。客観的な事実として、安倍政権になり非正規雇用が増加し雇用の質が劣化する中で、就業者数は増加し、失業率は低下しています。つまり、現在の日本の状況は、必ずしも雇用の量の改善が、質の改善に繋がらないどころか、雇用の量の改善と質の低下が同時に起こるという経済学的には説明しにくい状況が現に発生してしまっているのです。
もちろん、このような問題を一挙に解決する妙案などは存在しないのですが、それでも、「改革!!挑戦だ!!一億総活躍だ!!」と空虚なスローガンを連呼するのではなく、現在の日本経済の問題点を一つ一つ検討し、それに対して適切な対処を行おうという慎重かつ懸命な姿勢が現政権には求められているように思います。
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商品の価格は需要と供給によって決まる、というけれどそのためには需要量と供給量が自由に動かせなければならない。需要が減少したときに供給量が減らせない商品があったなら、その商品の価格は無限に低下してゆき、最後はタダ、自由財になってしまう。
供給量を減らせない最も代表的な商品は何か。
「労働力」だ。
父ちゃんの賃金が減ると専業主婦だった女性がパートタイムに出る。労働力の供給は増えてしまう。すると賃金はさらに下がり、子供は学校を辞めて働くよ、などということが起こる。労働者の間で乳幼児死亡率が上がり、次に高齢者の寿命が下がり、労働者本隊が飢餓で労働戦線から脱落するようになって始めて労働の供給量が下がる。ここではじめて労働力の供給と需要が均衡する。これはリカードの賃金鉄則の世界だ。
マルサスは、人口は等比級数で増えるが食料の供給は等差級数でしか増えない、だから労働者は常に飢えているのが常態だ、などといったが、ねずみは等差級数的にしか増えないが猫は等比級数で増えるから猫は常にねずみに飢えている、などということがあるだろうか。
軽い貯蓄過剰の状態を維持し、常に労働者のごく一部が餓死する程度の労働力過剰の状態を作り出せば賃金は極小に、利潤は極大にすることができる。その技術を〝彼ら〟はすでに手に入れているのだ。
竹中平蔵が、提示された賃金が気に入らないのなら働かなければよい、その賃金で働くことを自分で選んだのだから文句を言うほうがおかしい、という意味のことを言ったらしいが、そんな経済理論はない。夜道を一人歩きしている女性にレイプ犯が大きな棍棒をつきつけて、おい姉ちゃん一発やらせろ、さもなければこの棍棒をお見舞いするぞ、どっちかいいか自分で決めろ、といい、女性が仕方なくやらせたとしたら、それはレイプではないことになる。竹中とはその程度の人なのであり、それが慶応大学の経済学の教授なのだそうだ