誰が橋下維新を支えているのか?~橋下維新問題とネトウヨ問題の類似性~

「ネトウヨは金持ちか、貧乏人か?」論争

このような分析を聞いていて思い出したのが、以前評論家の古谷経衡氏と、漫画家の小林よしのり氏との間で行われた、「ネット右翼は金持ちか、貧乏人か?」論争です。評論家の古谷経衡氏は、『ネット右翼の逆襲』という本の中で、「いわゆるネット右翼と呼ばれる人たちの中心は、一般に考えられているような非正規労働者などを中心とした社会的弱者ではなく、「大都市に住むミドルクラス」である」と主張しています。一方で、小林よしのり氏は、「ネトウヨは富裕層だなどという分析もあるようだが、私には信じられない。高学歴の富裕層があんなバカな言説をホイホイと鵜呑みにして、ブログやツイッターで垂れ流したりするとは思えない」といった趣旨の発言をしています。

このような意見や見解の対立も、案外、先の維新の支持層の2重構造を当てはめて考えると理解しやすいのではないでしょうか?基本的に維新のスタンスは、外交的には排外主義であり、経済的には、再分配を否定する小さな政府論であり、また価値観的には多様でリベラルな価値観を否定する権威主義的な傾向を持ち、どれも右派の特徴であると同時に、生活保護者や在日外国人バッシングを行い、硬直した価値観を支持する権威主義的な傾向を持つ、いわゆるネトウヨが好む政策とぴったりと一致します。ですので、推定として(その規模や程度は違えど)維新の支持層の構造と、ネトウヨの特徴は一致していると推測できるでしょう。となると、古谷氏の分析した「大都市に住むミドルクラス」というのは、維新支持層のコアそうに分類される層であり、逆に小林よしのり氏の捉えている、「低学歴・低所得」「オタク、あるいはひきこもり」「モテない、社会性がない」といった特徴を持った層は、維新支持層における2層目の貧困層、典型的B層に分類できるかもしれません。

これにてネトウヨ論争決着か?

このような2重構造を想定した場合、一見、完全に矛盾している古谷氏と小林よしのり氏のネトウヨ観を矛盾なく説明することが出来ます(もっとも、論理的整合性があるからといって、その仮説が正しいことの証明とはなりませんが)。要は、そもそもネトウヨというものが、固まった一つの固定的な特徴を持った集団ではなく、このような不思議な、また全く真逆の集団的特徴を持つという意味において矛盾したグループであるということであり、彼らの見解の違いは、それぞれ、「ネトウヨと呼ばれる集団は一つの均質的特徴持った存在である」という間違った(正確には「間違っているかもしれない」)仮定のもとに作られたネトウヨ観を反映しており、結果として、このような矛盾した二つの見解の対立が生じているのかもしれません。

ちょっとした考察でした

今回は、あまり「だからこそ、こうすべきだあああ!!」みたいな結論めいたものは特にないのですが、維新の支持層の2重構造という分析は、「ネトウヨは結構金持ちの勝ち組だ!!」論と「ネトウヨは気持ち悪い引きこもりの負け組野郎どもだ!!」論という矛盾した分析を整理するのに上手く使えるかもしれないな、と思って書いてみました。もちろん、何らかの分析調査を行ったわけでもなく、なかなか証明することが難しい問題ではありますが、まあ、こういった認識を持っていれば、「ネトウヨは金持ちだー!!」という前提をもとにした分析とも、「ネトウヨは貧乏人だー!!」という分析ともまた違った新しい視点からネトウヨの問題が現在の日本の右傾化の傾向を分析できるのではないかと思います。

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西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

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