裏切りの儀式が始まった。
裏切り者が、処刑人たちに神の子を差し出す。
処刑人たちは、九人であった。
九人の弟子たちは、処刑人たちから神の子を取り戻そうとする。
処刑人によって、弟子たちは一人ずつ殺されていく。
一人の処刑人が、一人の弟子を殺していく。
見よ。弟子たちは安らかな顔で死んでいく。
彼らは神の子の教えを理解していたのである。
九人目の弟子が死んだとき、
神の子は処刑場へと連行されていく。
後には、裏切り者がそれを見送った。
裏切り者は、神の子の教えを高らかに謳う。
裏切り者は言った。
「私は世間の銀貨によって神の子を裏切ったわけではない。
それゆえ、私が世間に対して為すことはもはやない。
私は罪のない神の子を裏切るという罪を犯した。
ここに、罪なき罪が完成した。
罪なき罪によって、神の子の教えは示された。
罪なき罪によって、人間の罪は赦された。
神の子に祝福あれ。」
そうして裏切り者は、自死を決行するため歩き出した。
処刑人たちは、神の子を十字架に掛けた。
神の子は言った。
「私は神の子である。
ここに、罪なき罪が完成する。
罪なき罪によって、人間の罪は赦された。
その完成をもって、神の子の教えが示される。
神の子は、他人を救い、自分自身をも救う。
神の子は十字架に掛けられた。
ここに、神の子の教えが示される。
我が父なる神、
我が父なる神、
私を救ってくださり感謝いたします。」
処刑人たちは言った。
「神の子の処刑には、他の生け贄が必要か。
否。
それは神の子の処刑に相応しくない。
神の子は一人である。
神の子の処刑は、神の子ただ独りで行われる。」
神の子は死んだ。
神の子が死んだ。
神の子の死は、静寂を伴った。
神殿が裂けることもなく、
地震が起こることもなく、
墓から死者が蘇ることもない。
後に、神の子は復活した。
神の子は、生から死へ移り、死から生へ移った。
ここに、罰なき罰が示された。
神の子は、予言していた。
復活を見なければ信じない者には災いを。
復活を見ずとも信じる者には幸いを。
それゆえ、幸いを得るに値する者にのみ真実を。
神の子は言った。
「見よ。
私は世の終わりまで、
人の子と共にある。
全世界に、
全創造物に、
福音を宣教せよ。」
神の子は言った。
「私には、汝たちに告げるべきたくさんの事柄がある。
しかし、汝たちは今まだそれに耐えられない。
しかし、終焉の刻はやがて来る。
そのとき、真実は示されるだろう。」
神の子は、天に昇り、神の右に座る。
神の子の教えは叶えられた。
神の子の言行は、
記されたもの、および、記されなかったものと共にある。
そこには神の子の教えがある。
神の子への賛美歌が響き渡る。
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