『聖魔書』[2-2] 福音書

 神の子は、教えを信じる者たちの中から十人の弟子を選んだ。
 彼等は、十使徒と呼ばれる。
 神の子は、裏切り者を指名した。
 そのため十使徒の中に、
 神の子の裏切り者がいたことに成った。
 神の子に指名された者は、
 裏切らない者から、裏切り者へと成った。
 神の子は、裏切り者へ行動を促した。
 神の子は、教えを説き始めた。
 神の子と人の子は、ここに栄光を演じる。

 神の子は言った。
「神の子の教えに従う者は、
 神の子の教えに従わぬ者によって憎まれる。
 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。」

 神の子は言った。
「私は地上に平和をもたらすために来た。
 剣を投げ込むためではなく、平和をもたらすためである。
 私が来たのは、人々を仲たがいさせるためではなく、人々の仲を取り持つためである。
 神の子への‘愛’は、家族への愛とは異なる。
 異なる愛は、比べることもできない。
 神の子の教えに従う者に幸いあれ。
 神の子の教えは、汝の心の中にあるからである。」
 神の子がそう言ったため、
 神の子の教えは、人々の心の中にあることに成った。

 神の子は言った。
「言葉に神の子の教えを乗せよ。
 神の子の教えを言葉に乗せよ。
 教えを言葉によって弄ぶ者には、
 教えが言葉によって示されることはない。」

 神の子は言った。
「神の子の教えは、神の子に対する態度とは関係がない。
 神の子は、自分への態度で他人を判定することはない。
 神の子への個人的な行為について、神の子が特別に評価することはない。
 それは、神の子の振る舞いとして適切ではないからだ。
 神の子は、自分自身ではなく、教えによって神の子となる。
 神の子は、自分自身の苦難によって、教えを曲げることはない。
 神の子は、自分自身の都合によって、教えを利用することもない。
 それは、神の子の振る舞いとして適切ではないからだ。
 神の子は、教えによって評価する。」

 神の子は予言した。
「神の子は裏切られる。
 神の子は十字架に掛けられる。
 神の子は処刑される。
 神の子は、後に復活する。
 復活を見なければ信じない者には災いあれ。
 復活を見ずとも信じる者に幸いあれ。」

 神の子は言った。
「神の子が神の子である所以は、教えを唱えるが故である。
 一なる神の声が響くからではない。
 一なる神の声を聞かせるからではない。
 一なる神は、生きている者の神であり、死んだ者の神でもある。
 なぜなら、この世があり、あの世には天国と地獄があるからである。
 地獄では永遠の刑罰が、天国では永遠の幸福が得られる。」

 裏切り者は、神の子を裏切る。
 裏切り者は言った。
「神の子を裏切るのに、世間の銀貨は必要ない。
 世間の銀貨で裏切ることは、
 神の子を裏切る行為に対して適切ではないからだ。
 神の子を裏切ることは、神の子の教えによって為される。」

 神の子は、十使徒へ向かって言った。
「十人の中に、一人の裏切り者がいる。
 裏切り者は、神の子の教えに従って裏切る。
 裏切る者は、神の子の教えによって裏切るために生まれた。
 神の子を裏切る者は、裏切ることで神の子の教えに従う。」

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