『聖魔書』[2-2] 福音書

 神の子は言った。
「悔い改めよ。天国へ至るために。
 神の子は預言者であり、神の子の教えを授ける。
 偽の預言者に騙されてはならない。
 多くの者が神の子を名乗って、多くの人を惑わす。
 多くの偽の預言者が現れ、多くの人を惑わす。
 本物の神の子の教えに従う者は、最後には救われる。」

 神の子は言った。
「神の子は、病気を癒すことに頼った布教はしない。
 神の子は、医者ではないからである。
 神の子は、天候を予測することに頼った布教はしない。
 神の子は、予報士ではないからである。
 神の子は、パンを増やすことに頼った布教はしない。
 神の子は、パン屋ではないからである。
 神の子は、水の上を歩くことに頼った布教はしない。
 神の子は、呪術師ではないからである。
 真の預言者は、親しきものには通じない奇跡などには頼らない。
 真の預言者は、悪霊を操ることもない。」

 神の子は言った。
「神の子の教えは、人の子が従う教えである。
 それゆえ、人の身を超えた教えであるはずがない。
 神の子の教えは、人の身に適った教えである。
 神の子の教えに従う者は幸いである、天国へ昇ることができる。
 神の子の教えに逆らう者は不幸である、地獄へ堕ちることになる。」

 神の子は言った。
「汝の右の頬を打つ者には、左の頬をも差し出すべきか。」
 神の子は唱えた。
「そのようなことを言う者を警戒せよ。
 敵を愛し迫害する者のために祈ることは、普遍の真理ではない。
 頬を打つ敵を見極めよ。
 敵の中の敵か、隣人の中の敵か、敵の中の隣人か。
 自分を愛するように、汝の隣人を愛せ。」

 神の子は言った。
「罪の無い者のみが、罪を裁けるというのか。」
 神の子は唱えた。
「そのようなことを言う者を警戒せよ。
 それは、人の子の言葉であり神の子の言葉ではない。
 罪を定める者は、罪人でなければならない。
 人の子に神の子であることを求めてはならない。
 罪を定めずに、罪を量ることはできない。」

 神の子は言った。
「する、しないは、してもらうために。
 求める、求めないは、与えられるために。
 罪を定める、定めないは、罪に問われぬために。
 裁く、裁かないは、裁かれぬために。
 許す、許さないは、許されるために。
 失敗の門は広く、成功の門は狭い。」

 神の子は言った。
「私が来たのは、
 世間における義人でもなく、
 世間の法による罪人でもなく、
 神の子の教えに従う人を招くためである。
 世間の決まり事は、神の子の教えとは異なっている。
 世間の伝統を守り、
 神の子の教えを拒む者に災いあれ。
 神の子の教えに従う者に幸いあれ。」

 神の子は言った。
「神の子は、死者を蘇らせたりはしない。
 人の子の死は、一なる神との約束であるから。
 人の子の復活は、一なる神との約束の反故であるから。」

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