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安倍首相はアベノミクス「新3本の矢」の目標の一つにGDP600兆円を掲げた。2020年頃達成するのが目標だという。500兆円が600兆円になれば、20%も成長したように見える。しかし、そこには2つのトリックがある。第1のトリックは消費増税だ。
消費税率が5%から10%に上がれば、すべての物価が上がるのだからGDPはかさ上げされる。500兆円の5%は25兆円だが、消費増税によってかさ上げされるGDPは、これより若干少ない程度だが、いずれにせよ大きくかさ上げされるのは間違いない。
もう一つのトリックは内閣府が2016年末に予定しているGDPの推計方法の見直しだ。新基準による見直しで20兆円程度GDPが上積みされるという。国の豊かさとは全く関係の無い単なるかさ上げだ。
要するに、消費増税とGDPの計算方法の見直しで、数十兆円の上積みがすでに確保される。更に麻生財務大臣は10月16日の経済財政諮問会議で、経済統計の「精度」を高めるように提案したそう。現在の景気は「良い」と見せかけるトリックのようだ。
このような小手先の方法で、経済政策が「成功」しているように見せる姑息なやりかたは止めて頂きたい。こんな方法で国民を騙しても、国民生活が良くなるわけがない。いつかは国民はトリックに気付いて騙されたことに憤るだろう。なぜ堂々と減税を行ったり、財政を拡大したりしないのかと聞くと、答えは「1000兆円もの国の借金があり、財政が厳しいからだ」という。
借金の対GDPを減らすには公共投資等の財政支出を拡大すればよい
しかし、実際は問題なのは国の借金そのものではないはずだ。借金そのものを減らしたいなら、100分の1のデノミをやればよく、その場合国の借金は一夜にして10兆円に減る。そう言うと、いや借金そのものではなく、対GDP比が問題なのだと反論される。しかし、借金の対GDPを減らすには公共投資等の財政支出を拡大すればよいという内閣府の試算がある。残念ながら、この試算について知っている人は皆無に近い。
2005年6月6日 財務省は「財政問題に関するシンポジウム」を開催した。そこに経済財政諮問会議の吉川洋教授もパネラーとして出席していた。シンポジウムでは、会場の出席者からの質問を受け付けたから、筆者は質問した。「公共投資を減らすと国の借金のGDP比は増えると内閣府は発表している。それでも公共投資を減らすのか。」この質問に対し、吉川洋東大教授は「間違いです。そんな事はありません。」と言った。筆者は再質問を要求したものの、財務省はマイクを暴力的に取り上げそれ以上の発言を封じた。
シンポジウムの終了後、吉川教授は私の所へやってきて、私に名刺を渡し内閣府に調べさせると約束した。彼は、本当に借金の対GDP比が、公共投資の増額によって減少することを知らなかった。
後日内閣府からは、私の発言が間違いないことを確認する文書が郵送された。日本国民全員に知って欲しい。国の借金を実質的に減らしたければ、もっと国債を発行し減税や歳出拡大によってデフレから脱却しGDPを増やせばよいだけだ。これに関する内閣府の試算を忠実にテレビで紹介したら、日本中がひっくり返るほどの大騒ぎになるだろう。長年日本を苦しめた国の借金の問題が一挙に解決する瞬間になるのだから。GDPのかさ上げでなく真の経済の復活ができるのだから。
小野盛司
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