法人税を下げる話が進んでます。
- 2015/11/12
- 経営
- 税金
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ベンチャーサポート税理士法人の森です。急に寒くなりましたね。体調不良の方が増えてると聞いております。みなさまお体をご自愛ください。
さてマイナンバーのニュースに隠れて税金に関するニュースも報じられてます。最近の税金の目玉ニュースは大きく2つ。
一つは「法人実効税率引き下げはあるのか?」
もう一つは「消費税の軽減税率は導入するのか?」です。
今日は法人実効税率の引き下げについて、今の状況をお伝えしたいと思います。
「法人実効税率」というのは、「企業の利益のうち、何パーセントを税金で納めるのか」という数値のことです。これは国税である法人税だけではなくて、地方税の中にある法人事業税のように利益に課税される税金も含めた率です。この「法人実効税率」が日本は高い。経営者にとっては重大な問題です。
どれくらいかというと、現在で法人実効税率は32.11%。これが他の国に比べて高いので、日本の会社が海外へ逃げる現状があるわけです。例えばイギリスは現在20%で、2020年には18%に下げます。韓国は24.2%、シンガポールで17%、ドイツで29.66%です。
この法人実効税率は、安倍首相も下げていかないと国際競争力が維持できないと危機感を持ってます。2016年には日本も31.33%に下がると決めていますが、10月の報道で、さらにこれを2017年に20%台に下げる計画を発表しました。これは大方の予想を超える早い時期の引き下げ案です。
税金を改正する手続きは、年末に毎年「与党税制改正大綱」という来年の税制改正のドラフトが発表されるところから始まります。これを来年1月~3月にかけて国会で審議して、通れば法律になっていきます。この「与党税制改正大綱」に20%台への引き下げを盛り込む予定です。
ですので、現段階では正式決定ではありませんが、今の政治の状況であれば、与党内で反対が出ないかぎり、通る可能性は高いのかなと思ってます。ただし問題になってくるのは、減税で減った分を穴埋めするために何を増税するか、です。今の日本の財政状況で単なる減税というのは、なかなか厳しい。
そうなりますと、なんらかの増税とセットでの法人実効税率引き下げが考えられるわけです。今言われているのが、「法人事業税の外形標準課税の強化」です。外形標準課税・・・、あまり耳にしない言葉ですね。
これは、今まで資本金1億円を超える大企業だけを対象に、給与総額などの「事業規模」に応じて、赤字でも課税されるものでした。この赤字でも課税される外形標準課税を中小企業にも導入するという案が出てきているのです。そうすると、いままで赤字のときは、中小企業は「均等割」という税金が7万円だけかかりましたが、これからはもっと税金が発生することになります。
TPPも大筋合意して、これから国境を超えたビジネスが増えることになります。その中で法人実効税率が高い、というのは大きなハンデになってきます。法人実効税率の引き下げは避けては通れないものと思われます。
来年は参議院選挙もあるため、増税を言いだしにくい空気の中で、どのような形で法人実効税率を引き下げるのか。どこで増税してくるのか。これから12月末までの間に、しれっと報道される可能性があるので、聞き逃さないようにしていきたいですね。
ではまた来月。
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