アベノミクスを台無しにする消費増税

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安倍首相の70年談話が出された。よかったのは次の一文だ。

あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を 背負わせてはなりません。

当たり前のことをさらりと言ってのけた。「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たち」と言うが、この中には安倍首相自身も入っているのだ。安倍首相は1954年9月21日生まれで、戦争が終わって9年も経って生まれてきたのだから、戦争責任などあるわけがなく、当然謝罪の必要もない。

そもそも過去の植民地支配のことを70年も経った後、謝罪を続けている国がどこにあるだろうか。植民地支配をやってみて、何の利益にもならないことが分かって「こんな国を植民地にしなきゃあよかった」と反省する国はあったかもしれない。植民地の国民が宗主国に大挙して押しかけてこられては大変な迷惑なのだ。

ところで、日本の景気がもたついている。8月17日に発表される4-6月期の実質GDP成長率はマイナスになるのではないかと言われている。原油安や訪日客の爆買など、景気への追い風はある。その追い風を吹き飛ばすほど、昨年行った消費増税が景気の足を引っ張っている。

7月14日に出された経済財政白書では、14年度は消費増税分の個人消費の落ち込みだけで、GDPが1.7%押し下がられたと試算している。政府はデフレ脱却はできていないと言う。だったらなぜ消費増税を行ったのか、なぜ再び2017年に消費増税を行おうとしているのか。最近の実質GDP成長率は

実質GDP成長率
2013年度   2.1%
2014年度  -0.9%
2015年度  1.21%
2016年度  1.74%
2017年度  0.14%

となっている。
ただし、2015年度~2017年度は日経フォーキャスター41人(機関)による予想である。この5年間の平均を取れば0.8%の成長にすぎず、目標の2%成長には遠く及ばない。

しかも予想はいつも裏切られ、下方修正が続いているのが現状でフォーキャスターの予想も今後下がっていく可能性がある。2013年度はアベノミクスが日本経済を復活させるのでは無いかという期待で、内閣支持率は近年になく高くなったが、消費増税後、期待はすっかりはげ落ちた。これは我々が以前から警告していた通りだ。

デフレ脱却、失われた20年からの脱却には、補正予算を組んで景気対策を行い、2017年に予定されている消費税の10%への引き上げを撤回することだ。そうしないとアベノミクスは完全に失敗に終わり、国民はなにをやっても日本経済は、いや日本はダメなんだという深い絶望感に覆われてしまうだろう。今こそ決断のときだ。

小野盛司

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