TPP問題について~アメリカの議員とロビイストは中身を見れるのに、日本の国会議員は誰も見れない不思議な条約~

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TPPは秘密交渉なので、交渉担当者以外は中身を知ることが出来ません。農業や食料品といった重要品目の関税や、国家の主権問題に関わるISD条項等、国家のあり方を根本的に変えかねないような重要な交渉を国民や、国会議員にすら内容を知らせずに交渉をしなければならないという無茶苦茶な条件の下で、これまでTPP交渉は進められてきました。しかし、そんな秘密交渉であるはずなのに、交渉相手国(例 アメリカ)だけは自由に業界団体と情報を伝え合い、密に連携を取りながら交渉を進めているとしたらどうでしょう?一方的にクソ真面目に守秘義務を守っている側の国は圧倒的に不利な立場に追い詰められますよね?

「Facebook公開グループTPPって何?」の管理人メンバーの一人であるまつだよしこさんが、こちらの記事『今更聞けないTPP ―協定の内容を知る人たちの正体』(http://asread.info/archives/1651
で、そんな秘密交渉でもアメリカは業界団体と密に連絡を取り合いながら、合法的に有利に交渉を進めているという事実について解説しています。

内容をまとめるとこうです。まず、最初に確認しておくべきことは、アメリカは合衆国憲法にて、国際条約と国内法が対立した場合国内法が優先されると規定されています。ですので、おそらく、TPP交渉の守秘義務と国内の情報開示義務で齟齬があった場合、国内の情報開示義務が優先される可能性があります。

そして1974年の通商法で、アメリカは貿易諮問委員会制度のメンバーが、米国が提案する協定文案に対して自由にアクセスすることができるという法律を組み入れました。

 具体的には大統領通商政策・交渉諮問委員会(ACTPN)、農業政策諮問委員会(APAC)、農業専門諮問委員会(ATAC)、産業貿易諮問委員会(ITAC)、政府間政策諮問委員会(IGPAC)、労働諮問委員会(LAC)、アフリカ通商諮問委員会(TACA)、貿易・環境政策諮問委員会(TEPAC)が、本来合衆国憲法により議会に権限がある通商交渉権を、TPAを通して一時的に大統領府に委任する際、政府の貿易政策や貿易交渉にアメリカ国民の利益を反映させるために制定された組織です。連邦議員の推薦などによって選ばれた諮問委員は大統領のお目付け役として存在しているというわけです。
(『今更聞けないTPP ―協定の内容を知る人たちの正体』 http://asread.info/archives/1651

合衆国憲法では、国際条約と国内法が対立した場合、国内法が優先されるとあるので、これらの業界団体は、TPP交渉の守秘義務とは無関係に合法的にTPPの交渉内容を知ることが出来る可能性があります。

日本では、業界団体はおろか、国会議員ですら、その交渉内容を知ることが出来ないにもかかわらず、アメリカのロビイスト団体は自由に交渉内容を知ることが出来る。これだけでも、大変な事実なのですが、さらに、先日アメリカのUSTR代表のフロマン氏が驚くような発表をしました。

3月18日、アメリカ通商代表部(以下、USTR)のマイケル・フロマン代表がTPPの交渉内容を自国の国会議員に対して全面開示する方針を明らかにした。
USTRのホームページによれば、アメリカの国会議員は交渉に関するすべての文書はもちろん、今後アメリカが提案する内容についてもチェックできるようになるのだという。
極秘のはずのTPP交渉内容が米議員に全面公開! 日本はまた「不平等条約」に泣くのか http://news.infoseek.co.jp/article/shupure_46654

記事によると、現在、アメリカでは国会議員に対してTPP交渉の内容が全面的に開示され、議員なら誰でも文書を閲覧できるようになっているそうです。

つまり、日本では、業界団体も国会議員も一切その内容を知ることが出来ないにもかかわらず、アメリカ側は、業界団体関係者と全ての国会議員が全面的にその交渉内容を知ることが出来るということです。

TPP議論では、TPP賛成派は「早期に交渉に参加して、日本に有利なルール作りを進めるべきだ!!」と繰り返し主張していましたが、こんな状況では絶対に日本に有利なルール作りなど不可能です。ポーカーで例えれば、自分は自分の側の手札も見れないのに、相手は相手自身の手札とこちらの側の手札を全て見れるような状況で勝負するようなものです、こんなルールでゲーム勝つなどまず不可能です。

それにしても、一体なぜこのような事態に陥ってしまっているのでしょうか?

3月30日の参議院予算委員会で社民党の福島瑞穂議員が甘利明TPP担当大臣を追及した際に、甘利氏は、次のように述べたそうです。

「当然、アメリカと日本の秘密保持義務のかかり方も違ってくると思いますから」

驚くべき発言ですが、この発言が事実であれば、そもそも日本とアメリカで課された守秘義務のルールが違う可能性があるということなのです。つまり、日本は各国で平等に守秘義務を課されていたのだと思っていましたが、そもそもそれが間違いで、(他の国はひとまずおいて)日本には非常に厳しい守秘義務が課されている一方、アメリカ側には相当条件が緩和された守秘義務しか課されていなかった可能性があるのです。

合衆国憲法においては本来、貿易交渉の権限は議会にあります。一方、日本は交渉の権限は政府にありますので、例えば、守秘義務の内容が「貿易交渉の権限を持つ主体のみ貿易交渉の内容を知ることが出来る」というようなルールであれば、今回アメリカがやっている情報の開示は守秘義務のルールに抵触しないということになります。しかし、肝心の守秘義務契約の中身すらも秘密ですから一体何がどこまで秘密なのかすら交渉担当者以外は分かりません。

ところで、日本でもTPPの締結には議会の承認が必要なのですが、このまま国会議員にまで情報が秘密であるとすると、議会は内容も分からないような条約を議会で批准することになるのでしょうか?まさにワケが分からない状態です。

現在、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の参加の是非を巡って保守派の間では、「その内容がはっきりとしない」「内容を中国に問い合わせても返答がない」といったことを理由に「日本は参加すべきではない」という意見が多数を占めているようですが、「内容が分からないなら参加すべきではない」というのであれば、TPPに関しても「今すぐ日本は交渉から離脱すべきだ!!」と主張すべきでしょう。このTPP問題は、国家経済、国家の主権や民主主義の問題と深い関わりがありますが、同時に保守派の論客の誠実性が問われる問題でもあるといえるかもしれません。

西部邁

高木克俊

高木克俊会社員

投稿者プロフィール

1987年生。神奈川県出身。家業である流通会社で会社員をしながら、ブログ「超個人的美学2~このブログは「超個人的美学と題するブログ」ではありません」を運営し、政治・経済について、積極的な発信を行っている。

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