【国際情勢】2015年、岐路に立たされる日本(2)「中国、驚愕の対日戦略とは?」

中国の罠にはまった安倍総理

2013年12月26日、安倍総理は、バイデン米副大統領の警告を無視し、靖国を参拝しました。

「小泉さんは総理時代6回も靖国に参拝している。しかし、アメリカ側からは何のリアクションもなかった。だから、今回も大丈夫だ!」と甘く見ていたのでしょう。

2012年11月から、中国が大金をかけて、「日本は右翼化している!」「日本が軍国主義化している!」「日本は歴史の修正を求めている!」と全世界でプロパガンダしてきたこと、知らなかったのだと思います。

で、結果はどうだったか?

総理の「靖国参拝」に反対したのは、果たして政府の見通しどおり中国、韓国だけだったのでしょうか? 総理靖国参拝後の各国の動きを振り返ってみましょう。

・2013年12月26日、安倍総理の靖国参拝について、米国大使館が「失望した」と声明を発表。
・アメリカ国務省も「失望した」と、同様の声明を発表。
・英「ファイナンシャル・タイムズ」(電子版)は、安倍総理が「右翼の大義実現」に動き出したとの見方を示す。
・欧州連合(EU)のアシュトン外相は、(参拝について)「日本と近隣諸国との緊張緩和に建設的ではない」と批判。
・ロシア外務省は、「このような行動には、遺憾の意を抱かざるを得ない」「国際世論と異なる偏った第2次大戦の評価を日本社会に押し付ける一部勢力の試みが強まっている」と声明。
・台湾外交部は、「歴史を忘れず、日本政府と政治家は史実を正視して歴史の教訓を心に刻み、近隣国や国民感情を傷つけるような行為をしてはならない」と厳しく批判。
・12月27日、米「ニューヨーク・タイムズ」、社説「日本の危険なナショナリズム」を掲載。
・12月28日、米「ワシントン・ポスト」は、「挑発的な行為であり、安倍首相の国際的な立場と日本の安全をさらに弱める」と批判。
・同日、オーストラリア有力紙「オーストラリアン」は、社説で「日本のオウンゴール」「自ら招いた外交的失点」と指摘。
・12月30日、米「ウォール・ストリート・ジャーナル」、「安倍首相の靖国参拝は日本の軍国主義復活という幻影を自国の軍事力拡張の口実に使ってきた中国指導部への贈り物だ」。
(つまり、「日本で軍国主義が復活している」という、中国の主張の信憑性を裏付けた)
・同日、ロシアのラブロフ外相は、「ロシアの立場は中国と完全に一致する」「誤った歴史観を正すよう促す」と語る。

これらを見ると、「反対なのは中国、韓国だけ」という日本国内での報道のされ方は、かなり強引であったことがわかります。実際には、中韓に加え、アメリカ、イギリス、EU、オーストラリア、ロシア、親日の台湾まで、靖国参拝を批判していたのです。

そして、この問題は長期化し、「日本はますます孤立化していく」兆候を見せていました。

たとえば、「ブルームバーグ」は2014年2月19日、「日本のナショナリスト的愚行、米国は強い語調で叱責を」という社説を掲載しています。

何が書いてあったのか、抜粋してみましょう。

悪いことに、日本は米国から支持を受けて当然と思っているようだ。バイデン米副大統領が事前に自制を求めていたにもかかわらず、安倍首相は靖国参拝を断行した。非公開の場でのこの対話の内容はその後、戦略的に漏えいされた。恐らく、安倍首相の尊大な態度を白日の下にさらすためだろう。(ブルームバーグ 2014年2月19日)

アメリカの本音は、「属国の長が、宗主国No.2の要求を無視するとは、なんと尊大な!」ということなのでしょう。

米国は反論すべきだ。それも通常より強い言葉で切り返すべきだ。
4月のオバマ大統領のアジア訪問は、中国政府の外交的冒険主義を容認しないことをあらためて表明する良い機会であると同時に、安倍首相の挑発がアジアの安定を脅かし、日米同盟に害を及ぼしていることをはっきりと伝えるチャンスだ(ブルームバーグ 2014年2月19日)

要するに、「オバマは4月に日本に行ったら、『ガツン』といってやれ!」と主張しているのです。

日本が何十年もかけて築いてきた責任ある民主国家として受ける国際社会からの善意を、安倍首相は理由もなく損ないつつある。
首相が自分でそれに気づかないのなら、米国そして日本国民が分からせてあげられるだろう(ブルームバーグ 2014年2月19日)

つまり、「尊大な」安倍総理が悔い改めないのであれば、アメリカが「わからせてあげよう!」と。これは、一種の脅迫ですね。

このように2014年2月、日本は、世界で完全に孤立状態にありました。そして、中国の、中米ロ韓による【反日統一戦線】戦略がみごとに成功する一歩手前まで来ていた。

ところが、ある【歴史的大事件】が起こり、安倍総理は救われたのです。

その【歴史的大事件】とは???

長くなりましたので、つづきはまたの機会に。

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ロシア政治経済ジャーナル

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西部邁

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