アベノミクスでGDP600兆円へ?
9月24日安倍首相は、「アベノミクスが新たなステージに移った」として、「新3本の矢」を提唱しそれを経済政策運営の基本に据えることに言及しました。同時に、アベノミクスでGDP600兆円を目指す!!とも発言し、野心的な目標を打ち出しています。
アベノミクスと新3本の矢を評価する
そこで、現在経済評論家を中心とする様々な評論家が、この新3本の矢について言及しています、例えば、日本の元大蔵・財務官僚、経済学者である嘉悦大学教授の高橋洋一氏は
『アベノミクス「新三本の矢」を「折れない矢」にするために、絶対必要な二つのことGDP600兆円越えは、こうすれば達成できる!』
(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45535)
と題して、アベノミクスとGDP600兆円という目標を打ち出したことを評価したうえで、消費税増税の中止等、それを実現するための具体的な方策を提案しています。
そして、これまた元官僚である岸博幸氏は、
『「新3本の矢」をあえて前向きに評価してみる』
(http://diamond.jp/articles/-/79332)
というコラムの中で、「新3本の矢」に関して強い批判の声が上がっていることを認めつつも、あえて肯定的な側面から評価したうえで、より強力に構造改革を押し進めることが出来れば中長期の期間でアベノミクスは成功するだろうという条件付きながら楽観的なシナリオを提示しています。
それでもアベノミクスは失敗する
このように、肯定的な側面からアベノミクス第二ステージと「新3本の矢」を肯定的に捉えようとする評論家もいるのですが、私はどうしてもこのアベノミクスと新3本の矢を高く評価することが出来ません。理由はいくつもあるのですが、今回はそのうちのいくつかの要因を順を追って説明していきます。
まず、一つは全く目標に具体性がない点です。実は、このGDP600兆円という目標は期限が定められていません。一般的には政府の実質成長率2%名目成長率3%という成長予測をもとに2020年前後を目処に目標実現を目指すものであると考えられていますが、具体的な期限の明言は一切ありません。もしかしたら、10年後かもしれないし、もしかしたら100年後かもしれない。この期限というのは非常に重要で、6年後に目標を達成するには年間の名目GDP成長率は3%で構わないかもしれませんが、12年後に目標達成するには目標年間名目成長率は1.5%となります。さらに24年後に目標達成を目指すなら年間0.75%という超低成長でも実現します(しかも、これは名目成長率ですので、例えば年に0.5%のインフレ状況下であれば、実質成長率は0.25%という実質的にゼロ成長に近い状況でも達成可能となります)。何が言いたいのかというと、GDP600兆円という目標を掲げても期限を設定しなければ実質的には何の意味もないということです。実際に、先の高橋洋一氏のコラムで取り上げている池田勇人内閣の所得倍増計画も10年でという具体的な期限が設定されていました。
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