出口戦略なき財政再建論議

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小野盛司会長の最新小論文

債務GDP比は23年度で底打ちという自民部会の見解に反論する

自民党の財政再建に関する特命委員会は2日、内閣府の中長期試算を検証した。
内閣府試算は、2023年度までは高成長を続け、債務残高対GDP比も改善するが、委員会では、その後30年度までを見通した場合、将来的な金利上昇で債務GDP比は23年度で底を打ち、反転上昇を続けると結論付けた。

債務GDP比は23年度で底打ち、30年度まで悪化も=自民部会 | Reuters

河野太郎氏の主張のようだが、この主張は全く受け入れられない。河野氏の氏の主張は次のようだ。
「今後、2023年までは内閣府の試算どおりに国の債務のGDP比は下がっていくが、2023年度以降は金利が上昇して、政府の利払いが増加し債務のGDP比は上昇する。
だから今から歳出削減をしなければならない。2015年~2020年の間に9.4兆円歳出削減をすればプライマリーバランスの赤字は解消できる。」

河野氏の第一の間違いは9.4兆円の歳出削減をすれば、そのままそれがプライマリーバランスの赤字解消に繋がると考えている点で、
歳出削減は景気悪化、そして歳入の減少を招くということを無視していることだ。この点に関し内閣府に確認した。内閣府も同意していただいた。

第二に2023年以降に突然金利上昇が始まると「予言」したところで、その理由を示さなければ全く説得力は無い。
8年後の金利が上昇するか、下落するか予言できる人など、世界中捜しても誰もいない。
内閣府の試算では2023年度の長期金利は4.6%になっている。
現在日銀当座預金が201兆円、マネタリーベースが295兆円もあり、2023年度にはそれが更に増加しているだろうから、
金利が4.6%もの10年物国債が売り出されたら買いが殺到し、あっという間に金利を押し下げてしまうのではないだろうか。
4.6%ですら非現実的な高さだし、それが更に上昇するだろうという河野氏の「予言」の更に非現実的である。

更に、日銀が国債を買いまくると、政府の支払う金利は日銀に向かい、それは国庫納付金として国庫に返ってくるわけだから債務GDP比の増加にならない。
河野氏も自民党の財政再建に関する特命委員会の人達にも理解して頂きたい事は、
この種の議論をする前に、日銀が行っている金融緩和の帰結をしっかりと議論をしておかない限り、何も有意義な結論を出せないということだ。
今のペースで日銀が国債を買い続けることができれば、2023年度までには政府発効の国債はすべて日銀が買ってしまうことになる。
そのときの、日本経済の姿を議論するのか、あるいは途中で買うのを中断したときの姿を議論するのかで随分違ってくる。いわゆる出口戦略だ。

日銀は出口の話を避けたがるが、出口の話をしなければ日本の未来の日本経済を語ることはできない。
早く出口にたどり着けば着くほど、ショックは少なくて済む。日銀当座預金の残高やマネタリーベースの増大を最小限に抑えられるからだ。
デフレ脱却を遅らせれば遅らせるほど、出口にたどり着くのが遅れショックは拡大する。デフレ脱却を遅らせる最大の原因は消費増税である。
そういう意味で昨年4月の消費増税は大失敗だった。再来年4月の消費増税が更にデフレ脱却を遅らせ、日本経済を重大な危険に晒す可能性もある。
ここは一刻も早く出口を迎えて、ソフトランディングを試みなければならないし、そのためには消費税は5%に戻し、財政支出を思い切って拡大し一刻も早くデフレから脱却することだ。

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西部邁

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