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アベノミクスに対して、厳しい批判の声が多く聞かれるようになった。4-6月期で実質GDP成長率は年率換算でマイナス1.6%であった。株も急落し、輸出も消費も落ち込んでいる。対中依存度が高まってきていて、中国経済減速の影響で株が下がり、輸出も落ち込んだ。
リーマンショックの頃を思い出す。その前夜、世界経済は30年に1度とも言われたほど好景気に沸いていた。世界経済がダイナミックに拡大をしていた頃、日本はデフレ脱却に失敗し、ひたすら財政健全化のための緊縮財政政策を続けていた。歳出削減で経済は疲弊し、一人当たりの名目GDPで国際順位を3位から18位まで落とした。デフレ下で緊縮政策という間違った政策を行わなかったら、簡単にデフレから脱却でき、財政健全化も果たせたのに、結果としてデフレ脱却できず、財政も悪化を続けた。
今回も同じ失敗を繰り返そうとしている。現在、日本経済にとって様々な追い風が吹いている。円安、株高、そして原油安である。これらはすべてGDPを押し上げ要因となる。しかし政府が認めるように、デフレ脱却はまだできていないのだから、当然補正予算を組んで景気対策を行う時だ。
減税も景気対策の中に入れるべきだ。そのような政策により、容易にデフレ脱却=財政健全化が実現するに違いない。残念ながら政府は消費税増税と歳出抑制という暴挙に出た結果景気悪化を招いている。デフレ脱却を目指すなら絶対にやってはいけない政策だ。
なぜそのような馬鹿な政策をやるのかというと、異次元の金融緩和の効果を過大評価したのだ。我々は消費増税の悪影響は大きすぎ、金融緩和で取り返すのは無理だから絶対やってはいけないと主張し続け、実際我々の主張は正しかった。
そんな中、自民党幹事長の谷垣氏は、8月18日に景気対策の必要性を訴えた。景気悪化で支持率も下がり気味だし、来年の参議院議員選挙対策としても補正を組んで景気対策を行う必要性を彼は理解しているのだろう。
公共事業をやっても人手不足だから景気はよくならないという反対意見が出るかもしれない。単年度でなく、5年または10年計画を出すなら企業も人を集め設備投資をする。
家庭には物があふれていて、もう買う物はないのだから、これ以上消費は伸びないという反対意見があるかもしれない。しかし、2014年度の消費増税で消費が大きく落ち込み、それが元に戻らないのだから、消費税を5%に戻せば消費も元に戻る。
プレミア付き商品券もやり方によっては大きく消費を伸ばす。筆者はかつて自民党清和会の政策研究会でプレミアム商品券の提案をし、その場で議員がその案を採用したいと言っておられた。そのとき筆者が提案したのは、消費税還元商品券だ。
当時は消費税は5%だったから、筆者が提案したのは1万500円の商品券を1万円で売り出す案であった。一人当たりの限度額を105万円~315万円とすれば、車を買ったり、自宅の改築に利用したりする人は結構出てくるはず。そうすればかなりの経済効果が見込まれる。
効果は一過性と思うかもしれないが、景気が完全に回復するまで続ければよいだけだ。景気が良くなれば税収も増える。重要なのは、景気が完全に回復するまで、十分な規模と期間を確保することだ。
小野盛司
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