【PR】オトナのマンスリーマガジン「月刊WiLL」は年間購読がお得!
保守こそ危機感を!
──米韓FTAを結んだ韓国は悲惨です。
堤 韓国はもはや瀕死の状態です。皆保険は崩壊し、高齢者の自殺も増える一方。FTAによる国内の失敗に対する批判の矛先を慰安婦問題によって逸らそうとしているのでしょうが、もう限界ではないでしょうか。
韓国は「市場を開放した場合の日本の将来の姿」と言えるでしょう。しかし、日本の新聞はこのことをほとんど書きません。
──日本も決して他人事ではない。
堤 秘密保護法の裏で、国家戦略特区法案が通りました。「戦略特区」はTPPの予告編、地域限定のシミュレーションです。ところが、「戦略特区」の実態はほとんど認識されていません。今回の本の件で様々なメディアから取材を受けていますが、「戦略特区」について知っている人がほとんどいないので驚きます。
大規模農業改革拠点になった新潟には、農業の大型法人が入ります。雇用改革拠点の福岡は、移民の実験場になるでしょう。関西圏は医療、教育。東京に至っては国際ビジネス拠点、つまり「全部盛り」です。
「TPPや戦略特区で何が起こるのですか」という質問に、私はこう答えています。
「アメリカを見てください。アメリカの『一%』が日本でやろうとしていることは、すでにアメリカで行われています」
この危機感の基本にあるのは「愛国」です。国民を不幸にしてはならない。次は日本のことを中心に本を書く予定ですが、まず本書でアメリカの現状を知っていただいて、『WiLL』の読者である保守の方々にこそ危機感をもって欲しいです。
戦うべき相手は1%のみを優遇する雰囲気なり
──TPPでは、保守のなかでも賛否が分かれました。賛成派は「日米同盟強化」「中国包囲網」を理由に挙げましたが、反対派は「日本国民の経済市場を売り渡すくらいなら自主防衛したほうがいい」と考える。すると今度は、「反TPP」では連携できるはずの護憲派との衝突になってしまって連携できないという状況でした。
堤 安倍総理はTPPや戦略特区に前向きな一方、対米自主の部分もあって自主防衛を考えています。いまはある意味、国民が安全保障や日米関係について一から議論するチャンスでもあると思うんです。
ところが左派は、「TPPはダメ、集団的自衛権はダメ、自主防衛もダメ、自衛隊は丸腰でいい。九条護持、議論の余地なし」。そこから一歩でもはみ出すと「右翼か」と言われる(笑)。
私は『WiLL』でも執筆されている三橋貴明さんや中野剛志さんと結構気が合うのですが、自分の番組に呼ぶとネットが大荒れです。「CIAの手先!」とか(笑)。
──保守の側も、新自由主義を批判すると「共産主義者か」と言われるという不毛な争いがあります(笑)。
堤 右も左も同じなんですね……。でも、これでは思考停止になってしまって一%の思う壺です。健康保険を手放したいという人はいないでしょう。まずはアメリカの惨状を見てもらって、「皆保険がなくなったら、肝炎だけで八百万円かかるんだよ」という具体的な例を広めていく。
保守もリベラルも分断されていることにまずは気づき、「本当に戦うべき相手は誰なのか」「日本を守るために何をすべきか」を軸に小異を捨てて連携すべき時でしょう。
奪われてしまってからでは遅い、ともにこの国を守るチャンスはいましかないからです。
この記事は月刊WiLL 2015年2月号に掲載されています。他の記事も読むにはコチラ
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。